独・コナジー、日本市場に本格参入
14年100MW目指す 独自のプラント保険を商品化
太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)世界大手コナジーは日本での事業を本格化する。日本法人コナジー・ジャパン(東京都千代田区)代表取締役には大高秀幸氏が就任した。本格始動となる14年度はメガソーラーに力を入れ、100MWの受注を目指す方針だ。
独・コナジーは1998年の設立以来、EPC事業を展開し、累計600MWの建設実績を持つ。ポリシリコンからモジュールまで一貫生産を行うメーカー機能もあり、関係会社で架台やPCS(パワーコンディショナ)等部材の製造も行っていた。
しかし安価な中国製品が市場に流入し、欧州の太陽光関連製品の市況は下落。同社も2013年7月に破産に追い込まれた。
「民事再生になり、営業と技術部門は米・カワ・キャピタル社に、架台はドイツ企業が親会社に、モジュールは中国メーカーが買収することになった。それぞれの組織としての繋がりはなくなったが、互いの製品や性格をよく理解している。兄弟のような関係でこれからも発展していけたら」(大高社長)。
多くのEPC業者がモジュールやPCSなどの部材を他社から選定するが、コナジーは自社で賄うことが可能だ。EPC企業がメーカー機能を持っていることで、施工しやすい部材の供給ができるという。
「太陽光発電所の建設ではオールラウンドプレーヤー。容易な架台の組み立て方法や配線の仕方などにも気を配ることができる。部材、設計、建設すべてわかることによって、どの立場の難しさも理解できる」と大高社長は語る。
さらに同社は、自社で建設した太陽光発電所に適用する保険商品を発表した。特長はモジュール等の機器に付与される保険ではなく、プラント全体を保証するという点。大高社長は、「日本では製品そのものの保証が一般的だが、海外では製品の保証に加えてプラントも保証する。予期しない出力低下や配線ミス、原因がなんであれ、地震・津波以外はすべて保証する。現在窓口となる日本の保険会社と最終調整中。2~3ヶ月で販売開始したい」と話す。
大規模メガソーラー建設の際、多くの企業はプロジェクトファイナンスで資金を調達する。数十億円に及ぶ投資額を無担保で貸す銀行からすれば、この保険で機会損失を補償されるなら融資しやすくなるだろう。建設側もこの保険の選択により資金調達の時間が短縮される。保険料はプラント建設費の約1%となる見通しだ。
2014年度は「少なくとも100MW受注したい。既に20~30MWの案件を商談中」と大高社長は意気込む。14年3月には、同社初めての国内プロジェクト、北海道日高郡での900kW案件が竣工を迎える。もちろん架台、モジュール共に旧コナジーグループ製だ。
当面はメガソーラーでのビジネスに焦点をあてているが、家庭用への参入にも意欲的だ。「14年後半から来年初めには乗り出したい。日本の電気代は高騰していくだろう。自分の屋根で発電し1kWでも2kWでも賄う、そういう時代が来るでしょう。我々はFITに頼らない太陽光産業の実現に貢献したい」(大高社長)。