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旭東電気、新機能搭載の直流開閉器開発

高熱感知で自動遮断、安全性向上に

遮断器製販の旭東電気(大阪市旭区、北村文秀社長)はこのほど、新たに熱遮断機能を搭載した住宅用直流開閉器を開発した。2014年6月の量産開始を目指している。

同社が新開発した住宅用直流開閉器は、端子部が発熱すると、自動的に遮断するもの。端子部の奥にある熱動素子が100℃~250℃になるとスイッチが切れる『熱感知式直流開閉器』である。技術部の米田和人課長補佐は、「直流開閉器が設置されているPCS(パワーコンディショナ)や接続箱は、真夏だと90℃前後まで内部温度が上昇する可能性がある。誤作動で止まってはいけないので、100℃以上に設定した」という。

同社は09年から住宅用直流開閉器を製販しているが、「熱動素子を加えた端子部以外は基本的に全て踏襲しており、従来機種との互換性を備えている」(開閉機器事業本部営業部営業課新規事業プロジェクトの河津寿昭リーダー)。

従来品との違いは熱遮断機能を搭載したほか、定格使用電圧を直流330V、最大許容入力電圧を直流500V、最大入力電流を15Aにそれぞれアップ。レーザー刻印を採用し、ラベルレスとした。

開発の経緯について、河津リーダーは、「営業活動のなかで、施工時に開閉器とパネルとの接続部でネジを仮締めしたまま忘れてしまうケースがあるという話を聞いた。ネジを締め忘れると、端子部が熱を持ち、最悪の場合、2000℃を超えるようなアークが発生し、火災に繋がる恐れもある。安全のために何とかできないかと考えた」と話す。

そこで同社は12年秋頃より開発に着手。翌年年明けには試作品が出来上がったという。「そこからがカット&トライの連続だった。シンプルな形かつ施工ミスによる事故を防ぐことができる製品を目指した」(米田課長補佐)。

13年10月頃に開発を終え、現在、量産体制を整備中だ。今年6月の販売開始を目指す。すでにPCS大手での採用が決まっている模様だ。

また同社は、熱感知式のほか、『アーク感知型直流開閉器』の開発も進める。パネルと直流開閉器の間でアークが発生すると、遮断機能が働くもので、電磁波で感知しているという。米田課長補佐は、「FM電波など、他の電磁波で誤作動を起こさないよう、アークの特徴を捉えて反応する。アーク感知の技術は構築できており、フィールドでの試験を実施しながら、筐体などを開発していく」と述べる。

河津リーダーは、「その開発過程でアークの光を感知して遮断する『光検知式』も生まれた。密閉された空間で活用できる可能性を秘めている」とし、「当社の目標は、〝世界一安全な直流開閉器を作る〟というもの。その目標を目指し、今後も開発を進めていきたい」と語った。

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