坪井工業、EPC受注額60億円
ドイツ製スクリュー架台導入
太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)企業、坪井工業(東京都中央区、坪井晴雅社長)はこのほど、2013年10月期のEPC受注額が60億円弱に達したことを明らかにした。出力2MW未満の太陽光発電所を中心に、17MW規模の大型案件まで抱えた。今期は新たな工法を導入し、前期以上の受注獲得を目指す。
1932年の創業後、土木・建築や軌道工事を手掛けてきた同社は、住宅用太陽光発電システムの販売・施工で太陽光分野に進出。08年頃から産業用市場に展開し、事業を本格化させた。
転機となったのは12年。全量売電の開始に伴い、EPC受注量が伸長した。直流出力約17MWの大規模発電所まで手掛け、13年10月期の受注額は60億円弱にのぼった。
現在の施工パートナー5社と連携し、東北地方や中国地方、九州地方を中心に展開。元請けとしてEPCを担う案件が多い。太陽光パネルやPCS(パワーコンディショナ)は、「品質や金額、保証内容など、ユーザーのニーズに合わせて選定している」(環境事業部の久田一彦部長)。
同社は今期、前期以上のEPC受注額を目指しているが、買取り価格が減額されていく一方で、様々なコストアップ要因が存在する。コスト低減を実現し、いかに競争力を高めていくかが今後の課題だ。
そこで同社は、新たに独・クリナー製のスクリュー杭基礎・架台を本格採用し、専用の杭打ち機2台を購入した。
久田部長は、「EPCは、傾斜地など様々な条件の土地にパネルを設置していかなければならない。品質はもちろん、施工効率を高めることも重要で、今回杭打ちを導入した」と経緯を述べる。
クリナー製基礎・架台について、同部の髙岡敬典執行役員事業部長は、「架台の部品点数が少なく施工性も高い。杭打ち機を使えば1日250本の杭を打ち込める。2MWであれば、杭を打ち架台を組んで、パネルを設置する作業は、10人弱の人員で1ヵ月程度だ。杭本数の多い大型案件から採用していく」とし、「労働力不足はこれから問題になるはず。外国人研修生の受け入れも検討している」とも話す。
また同社は、今期中にO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)会社を立ち上げる。メンテナンスの全国網を持つパートナー企業と共同で設立する予定だ。
「当社が80年以上事業を継続できたのは、信頼を重視し、身の丈に合った事業を展開してきたから。太陽光のEPCでもそれは同じ。建設後も〝安心〟を提供していきたい」(髙岡事業部長)。