日立アドバンストデジタル、遠隔監視システム市場へ参入
モジュール単位で故障検知
日立アドバンストデジタル(横浜市戸塚区、藤井禎三社長)は6月より、モジュール1枚単位で故障を検知できる太陽光発電所の遠隔監視システムを発売、太陽光発電市場へ本格進出を果たした。
同社の遠隔監視システムは、モジュール1枚1枚の発電状況を監視し、不具合を検出するもの。検出ユニットによりモジュール単位での電圧やストリング電流を測定し、そのデータは受信ユニットとデータ収集ソフトウェアを経て、顧客サーバに送られる。
モジュールは相対比較によって監視し、不具合箇所については、独自アルゴリズムを用いて検出する。
映像情報本部第二設計部の鈴村伸太郎主任技師は、「インターコネクタやバスバー接続不良、セルやモジュールガラス割れといった不具合は、発電量の低下率が低いため、パワーコンディショナ単位での監視はもちろん、ストリング監視では早期発見できない。当社のシステムであれば、パネル毎に監視しているため、検出が可能だ」と述べる。
検出ユニットから受信ユニットまでのデータ伝送は、独立行政法人産業技術総合研究所が開発した電力線通信技術を応用し、太陽光発電システムで使用している直流電力線を通信ケーブルとして併用する。そのため、新たに専用の通信ケーブルが不要となり、コストダウンを実現した。
同部の須能裕司担当部長は、「20年に亘る売電事業においては、発電所の運営が重要になる。売電損失を考えると、モジュール単位でのモニタリングが必要なはず」としたうえで、「専用ケーブルが不要なため、配線コストや施工費などを含めたトータルコストで考えた場合、ストリング監視システムとほぼ同等の価格帯で提案が可能だ」と話す。
検出ユニットはストリング単位で設置していく。受信ユニット1台で最大40台の検出ユニットに対応する。モジュール枚数にすると、800枚相当になるという。
なお、同社がサーバを構築し、レポート提出なども行うパネル監視代行サービスもオプションで提供する。
今年度は30MWの販売を目指している。