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新星電気、コンクリ架台積極提案

トータルコスト3分の1 長期耐久性も重視

同社のコンクリート架台の設置事例

新星電気(神戸市長田区、津田久雄社長)は、独自に開発したコンクリート架台の採用が進んでいる。これまでにMWクラスも含め、500ヵ所以上の太陽光発電システムに導入されており、経済性や長期耐久性、施工性などを強みとして提案を強めている。

同社のコンクリート架台は、市販されているJIS(日本工業規格)に則った道路用コンクリート縁石を用いたもの。太陽光パネルとの接合部にはステンレス製の専用金具を使用する。パネル設置角度は5度。積雪地ではオプションとして10度設置も可能で、陸屋根や地上にそのまま設置できる。

津田久雄社長は、「風に対する安全性や年間発電量を考慮し、傾斜角度は5度を標準にした。実証試験も行なっており、結果を見ても予想を上回る発電量を記録している。角度があるので、パネル表面に付着した埃やゴミも雨で流れる」と語る。5度設置とすることで、パネルの設置間隔を狭めることができるため、スペースの有効活用にも繋がるようだ。

コンクリート縁石は1個当たり約21㎏。施工性に優れ、長期耐久性もあるという。荷重は㎡当たり約60㎏。「コンクリート縁石は汎用性があり、全国どこでも調達しやすい。屋根に穴を開ける必要がなく、撤去やレイアウト変更も容易に行なえる。専用金具は当社の上海工場で製造しているもの。長期耐久性を考慮し、ステンレスを用いた」(津田社長)。

設置場所や条件にもよるが、結晶系パネル出力250Wを4枚、計1kW設置した場合、材料費は約3万円としている。

津田社長は、「材料費だけでなく、労務費も含めた経済性が強みのひとつ。初めての人でも研修後には1日20枚設置できる。工具もレンチ1本で済む。一般的なコンクリート基礎を用いた架台に比べてトータルコストが3分の1以下に抑えられる」という。

1970年に電気工事業として創業した同社は、制御盤製造などを経て2008年頃に太陽光発電市場へ本格進出した。津田社長は「太陽光発電システムの設置提案した際、従来の架台では建物に穴を開けるうえ、コストも高く、ユーザーさんが二の足を踏んでいた。そこで様々な企業さんに協力いただきながら、コンクリート架台を開発した」と経緯を話す。

08年11月には、同社の開発したコンクリート架台を用いた第1号案件が完成。同案件は試験的な意味合いもあったという。その後、10年には、専用金具の生産体制などを整え、本格販売を開始した。

08年の第1号案件からこれまでの販売実績は500ヵ所以上で、なかにはMW規模の案件もあるという。北海道から九州まで全国各地で導入されている。

なお、同社のコンクリート架台の使用に当たっては、初回に施工研修を受ける必要がある。施工の実技を行うほか、設計についても研修を実施する。

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