丸紅、米・架台製販ゼップソーラーと提携
レール不要の屋根用架台販売
丸紅(東京都千代田区、國分文也社長)は、今年5月に米・屋根設置用架台メーカーのゼップソーラーと日本市場における独占的マーケティング及び販売権の取得で合意した。同社は、レールが不要で施工性も良い屋根設置用架台として、国内太陽光発電マーケットへの提案を強めている。
ゼップソーラーは2009年に設立した屋根設置用架台メーカー。米EPC大手であるビビントソーラーやソーラーシティに採用されるなど、12年には設置実績が60MWに達し、黒字化も実現した。今年の出荷量は350MWを見込んでいる。なお、ソーラーシティは今年10月、ゼップ社を1億58百万ドルで買収すると発表している。
今回、日本市場への進出を目論んでいたゼップ社と、モジュール販売とのシナジー効果で差別化できる架台を模索していた丸紅との思惑が合致し、業務提携に至ったという。同社電子材料部の西川泰造電子材料第一課長は、「ゼップ社とは昨年末から話を進めていた。我々にとっては、今後の住宅用やミドルソーラー市場への販路拡大のためでもある」と話す。
ゼップ社の架台は、独自フレームを用いたゼップ専用モジュールを金具により、屋根に設置するもの。スレート屋根、陸屋根、瓦屋根、折板屋根用をラインナップ、独自フレームの溝を使って施工するので、レールやネジは不要である。モジュールはフレーム同士が繋がっているため、アースも1本で済む。
西川課長は、「部品点数が少ないので施工速度が上がり、トータルコストの削減に繋がる。専用工具1つで全ての作業を担えるほか、部材のアローアンスが大きいため、施工の柔軟性も高い」という。
これらゼップ社の架台を使用するためには、独自フレームを用いた専用モジュールが必須。現在、中・インリー・グリーンエナジーやレネソーラ、トリナソーラー、カナディアン・ソーラー、韓・ハンファ、台・BenQソーラー(AUO)などといったモジュールメーカーがゼップ社と提携し、専用モジュールを製販している。
西川課長は、「もちろん日本のモジュールメーカーにも提案を進めている」としたうえで、「日本市場では、まず海外製専用モジュールと架台を組み合わせた『ゼップシステム』として提案し、実績を積み重ねていきたい」と語った。
なおゼップ社は住所を入力するだけで積雪量や風速などを踏まえ、自動的に構造計算を行うソフトウェアも開発しており、年内にも日本版が完成する見通し。施工研修は、丸紅とゼップ社が協力し、実施していく。耐風設計基準については、米国基準をクリアしているが、ユーザーニーズに応えるべく日本でも実証していく予定だ。