Inside News

東京太陽光建材、両面受光型モジュール 積雪地で導入加速

秋田で80kW出荷

(左)青森県で実施された実証試験。左側がTSBM製両面受光型モジュール。 (右)秋田県大仙市に設置された80kWシステム。樹脂成形などを営むセーコンが工場横の敷地に設置した。現在は地面に石灰石が敷き詰められている。

両面受光型太陽電池モジュールを製造する東京太陽光建材(東京都台東区、仁村利尚社長)は全量売電市場の拡大に伴い、自社製モジュールの提案を強めている。今年6月に稼動した出力80kWの太陽光発電所に同社のモジュールが採用されるなど着実に実績を重ね、拡販を目指す。

2010年に設立された同社は、ドイツと中国にある提携工場で委託製造した両面受光型モジュールを日本で販売。産業用市場をターゲットに、裏面に強化ガラスを用いたBIPV(建材一体型)モジュールと一般産業用モジュールの2機種をラインナップしている。BIPVモジュールは今年7月上旬にTÜV認証を取得、同月下旬には産業用モジュールでも同認証を取得する予定だ。

両面受光型の最大の特長は、裏面でも受光できるため反射光の吸収率が高いこと。同社のモジュールは、今年3月に群馬県の追尾型太陽光発電システムに約6kW導入されたほか、今年6月に運転開始した秋田県大仙市の80kWシステムにも採用されたが、決め手は両面受光型の積雪地における利点だった。

金香佑典専務取締役は、「雪国では、通常の角度でモジュールを設置すると、積雪により発電量が減少してしまう。これに対し、当社のモジュールは高角度で設置しても裏面で発電する分、発電量は確保できる。雪の反射光も拾えるので発電量がアップする」と述べる。

大仙市の80kWシステムにはモジュールの設置角度を手動で3段階調整できる一軸式架台を導入、積雪を考慮して角度調整を行なえる。また反射光による発電量の上昇効果を高めるため、地面に石灰石を敷き詰めている。

同社の産業用モジュールは、青森県弘前市が実施したスマートシティ共同研究業務における積雪地に適したモジュール・架台の実証試験にも採用された。昨年11月から今年2月までの4ヵ月間の実証試験の結果、「垂直に設置した両面受光型モジュールが、他社の片面受光型と比べて2月だけで20%増、4ヵ月間で16%多く発電した」(金香専務取締役)。

一方、同モジュールの耐荷重は表裏それぞれ2400Pa。同社の設置マニュアルに基づくと、表面は5400Paまで上昇する。現在の主力製品はセル60枚を直列接続した出力250W(表面のみの出力)タイプだが、今後は255W(同)タイプも発売する計画だ。

また同社はBIPVモジュールの提案も強めている。モジュールの単体販売だけではなく、菊川工業と共同で独立電源型街路灯やカーポートなどの用途開発を実施。カーポートは今秋より正式販売する予定だ。

金香専務取締役は、「BIPVモジュールは両面に強化ガラスを用いたので垂直設置も可能。産業用タイプより光透過率も高く、農地用にも適している」と話す。

なお同社は、栃木県那須烏山市で太陽光発電所の開発を進めていたが、最終的に両面受光型モジュールを一部供給する形に落ち着いた。発電所の出力は約800kW。そのうち同社の両面受光型モジュールは50kW程度採用される見通しだ。

Inside News を読む

一覧を見る