GMG、南相馬に太陽電池工場建設
〝福島産〟モジュール12月出荷へ
ジー・エム・ジー(東京都千代田区、高岡龍之介社長、GMG)は、福島県南相馬市原町区に生産能力100MWの太陽電池セル・モジュール一貫工場を建設する。今年4月中旬に着工、12月にまず60MWを稼働させ〝メイドインFUKUSHIMA〟モジュールとして、国内向けに出荷していく。2014年6月には、生産能力が100MWに到達する予定だ。
同社は2000年2月に設立。モジュール関連部材や装置の販売、アジアでの太陽光発電事業のほか、中国上海のグループ会社では、モジュールのOEM(他社ブランドでの生産)事業も行っている。日本メーカーのOEMを手掛けた実績があるなど、材料調達だけでなく、モジュール製造に関する技術や経験も有する。
同社は現在、工場の建設へ向け、南相馬市原町区に福島本社工場建設準備室を構える。南相馬市鹿島区出身の菅野一徳室長は、このプロジェクトを実現するため、同社に入社、およそ40年ぶりに故郷へ戻った。
「震災後、以前から知り合いだったGMGの高岡社長から国内で太陽電池工場を建設したいとの相談を受け、故郷である南相馬市を調査した。そこで風評被害が酷く、企業や人口が減っていることが分かった。これは運命だと感じ、南相馬市での工場建設プロジェクトに参加することを決めた」と振り返る。
南相馬市から土地の紹介も受け、同社は工場建設を決定。12年7月には、原町区を含む警戒区域等の解除区域において新増設を行う企業を対象とした『ふくしま産業復興企業立地補助金』の二次募集に応募、9月に指定企業の1社に選定された。
太陽電池工場は、原町区の約3.6haの敷地に建設する。今年3月に南相馬市からの取得が完了する予定だ。総投資額は約50億円。そのうち、60%を補助金で賄。工場では、セル・モジュール一貫工場として、最新鋭の製造装置を導入し、単結晶シリコン型太陽電池を製造する。モジュールは一部稼働する12月より、国内限定で代理店経由またはOEM供給していく予定だ。
また、同社は地元地域へ積極的に貢献していく方針を掲げており、本社機能も南相馬市の工場へ移管する。菅野室長は、「製造部門で160人程度、本社機能の移管も考慮すると、最大200人規模の雇用を創出できる。納税なども含め、地元に最大限還元していきたい」と語る。
さらに、「国内では珍しい一貫工場として、工場の屋根には約900kWの太陽光発電システムを設置するほか、見学用通路なども設け、地元住民の交流の場としても活用できるようにしていく」とも話す。
なお、同社は相馬市と南相馬市で、合計出力30MW程度のメガソーラーの建設も計画している。総投資額は約100億円を想定し、現在、土地選定を進めている。
菅野室長は南相馬で太陽電池の製造拠点を建設することについて、「すぐ傍に福島第一原子力発電所があるこの地域で太陽電池工場を建設するということは、ある意味象徴的な建物になると思う」としたうえで、「部材選定でも基本的には日本製にこだわっていきたい。この〝メイドインFUKUSHIMA〟モジュールを製造、販売することで復興の一翼を担っていければ」と語った。