Sエナジー、12年モジュール出荷日本向け10MW
前年比5倍の大幅増
韓国の太陽電池モジュールメーカー、Sエナジー(韓国京畿道城南市)は、2012年の日本向けのモジュール出荷量が約10MWにのぼり、前年比5倍増と大幅な伸びを示した。熊本県内のメガソーラーへ1.6MW分のモジュールを納入するなど、産業用向けの販売が好調。全量売電市場の立ち上がりを機に、住宅用から産業用まで採用実績を引き上げる。
同社が日本市場へ進出したのは09年。新興マタイ(長野県佐久市、谷津和孝社長)が販売する住宅用太陽光発電システムに採用されたのがきっかけだった。その後、FIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)の開始を見越して、11年からは産業用分野での営業も本格化させる。
昨夏には、芝浦グループホールディングス(福岡県北九州市、新地哲己会長兼CEO)のメガソーラーに一部採用され、1.6MW分のモジュールを納入。これが日本で初のメガソーラー向けモジュール供給となり、以後、代理店を通じてEPC(設計・調達・建設)企業へ販売してきた。
同社の製品は、単結晶シリコン型と多結晶シリコン型。多結晶型では、300Wの高出力タイプも取り揃えている。いずれも、韓国エネルギー技術研究院における実証試験で、IEC規格である2400Paを超える8400Paの高耐荷重性を確認。南宮アランマネージャーは、「当社の製品はフレーム設計に特長がある。この強度を利用して、最適な架台と組み合わせれば、トータルコストの削減にも繋がる」と話す。
なお、12年6月には、フラウンホーファー研究機構で、耐PID試験をクリアしているほか、塩害噴霧試験や耐雹試験も実施済みだ。
同社は、08年からモジュールの輸出を開始、欧州向けを中心にこれまで約220MWの供給実績がある。日本向けは11年までの累計が約8MW。12年は、住宅用に加え、発電容量50kW未満の低圧連系向けやメガソーラーまで合わせて10MWに達する見通し。韓国や米国では、プロジェクト開発や発電所のオペレーション・メンテナンスまで、トータルソリューションも提供している。
南宮マネージャーは「当社は財務的にも健全だ。12年通期決算においても黒字を見込む」としたうえで、「プロジェクト開発なども提供していきたい」と抱負を語った。