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バイテック、メガソーラー2ヵ所稼働

12年度 IPP 30MW

エレクトロニクス商社のバイテック(東京都品川区、今野邦廣会長兼社長)は、全量売電の開始に伴い、太陽光発電のIPP(独立系発電)事業に参入、3月末までに福岡県と栃木県の2ヵ所でメガソーラーを稼働させた。2012年度はこの2ヵ所を含む計15件、容量にして30MW超の案件で買取り価格を獲得、IPP事業を推進していく方針だ。

那須塩原発電所

同社は11年11月頃からIPP事業化の検討を開始、12年5月に正式に決定した。環境戦略部門開発推進部の藤本陽一統括部長は、「成長が見込める環境事業は推進していた分野で、当社は太陽光パネルの販売も手掛けていた。IPPは20年間の安定した事業であるだけでなく、社会貢献にも繋がるので参入を決めた」と経緯を語る。

12年度は15件で買取り価格42円を獲得。容量換算では30MWを超える。2MWクラスが中心だが、2MW以上の特別高圧案件も1件あるという。

藤本統括部長は、「基本的には自治体と協力しながら、2MW規模の発電所を開発している。地産地消型メガソーラーを目指しており、PPS(特定規模電気事業者)として地元に電力供給していければ」と期待を滲ませた。

環境戦略部門の岩橋孝部門長は、「計画停電での経験からも、特に地方では自前でエネルギーを持つ重要性が増している。だからこそ地産地消型を重視している」と述べる。

同社の第1号メガソーラーは、福岡県鞍手郡小竹町に建設した交流出力約2MWの案件。今年3月4日に運転を開始した。土地は中小企業基盤整備機構から購入し、地代を含む総投資額は約8.5億円。

モジュールは韓サムスン製単結晶シリコン型、パワーコンディショナはダイヘン製250kWタイプを採用。EPC(設計・調達・建設)は住友電設が担当した。発電量を増やすため、モジュール出力は2570kWとなっている。

また、遠隔監視システムにはストリング監視を設置。そのうち250kWはモジュール1枚単位での制御・監視できる米タイゴエナジー製オプティマイザシステムを導入した。

岩橋部門長は、「オプティマイザは試験設置的な意味合いも強く、ストリング監視とも比較できる。最適な監視方法やメンテナンス方法についてはまだ模索段階だ」と話す。

さらに3月27日には栃木県那須塩原市で第2号メガソーラーを稼働させた。交流出力は1.5MW、モジュール出力は1.9MWでサムスン製モジュールを採用、ストリング監視を導入している。EPCは住友電設。この発電所は、「再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援復興対策事業費補助金」を受けており、補助金を除く総投資額は約5.2億円である。

同社は、IPP事業における資金調達は、2MW未満の場合、基本的にリース方式を活用している。EPCは、住友電設のほか、栗原工業もパートナー企業である。

また同社は、自社でIPP事業を行なうだけでなく、他のIPP事業者に対し、土地選定以外の資金調達やEPC選定、連系協議、メンテナンスまでのトータルサービスも提供。12年5月頃から開始し、現在2ヵ所で実施している。

岩橋部門長は、「自治体が事業主となって、太陽光発電所の建設を進めるケースもある。建設するまでの経験やノウハウもある程度蓄積できたので、事業をサポートする形でサービスを提供している」と述べる。

今後は、太陽光だけでなく、バイオマスや小水力といった他の再生可能エネルギー分野にも進出するつもりだ。

藤本統括部長は、「現在、太陽光発電は引き合いも含めると、100MW以上の話を進めている。他の再エネについても自治体と協力していく。PPSの子会社もすでに立ち上げており、地産地消型のエネルギーを普及させていきたい」と語った。

(左)環境戦略部門の岩橋孝部門長 (右)環境戦略部門開発推進部の藤本陽一統括部長

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