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ワイヤソー市場回復の兆し

長らく低迷していたワイヤソー(シリコンインゴットスライス装置)市場に回復の兆しが表れた。マーケットは2010年にピークを迎えてから年率半減というペースで急落、12年には10年比4分の1まで縮小していた。だが、13年から中国でのウエハ生産がやや上向いており、ワイヤソー需要も14年にかけて緩やかに回復する可能性も出ている。

ワイヤソーとは、粉末状の砥粒を塗布した直径120㎛の極細ワイヤを、回転させてシリコンインゴットを切断する装置。単結晶・多結晶シリコンのウエハメーカーが主に使用している。

シリコンインゴット・ウエハの生産は、09年頃から中国で盛んになった。そこで、ワイヤソー世界最大手のコマツNTCや第2位のスイス・マイヤーバーガーらが中国向けに拡販、マーケットは急速に拡大する。ピークは10年で、年間出荷台数は約3000台、市場規模は1800億円に達した。

だが、11年から欧州需要が停滞し、セル・モジュールなどの製品在庫が溜まり始めると、ウエハも供給過剰となる。メーカーは生産停滞に追い込まれ、設備投資は冷え込んだ。これを受けて、ワイヤソー需要も低落。11年の出荷台数は前年比半減の約1500台、12年にはさらに半減し、800台規模まで落ち込んだ。

だが、13年に入ると、展望も見えてきたようだ。コマツNTCの宮田健章代表取締役専務は、「13年に入ると、客先の装置の稼働率を上昇し始めた。まだ新たな設備の導入には至っていないが、今秋から年末にかけて期待できそうだ」と状況を語る。

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