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ケミトックス、太陽電池モジュールの故障事例とPID対策セミナー開催

第三者認証機関のケミトックス(東京都大田区、中山紘一社長)は1月31日、「太陽電池モジュールの故障事例と対策、PID発生実証実験と対策・封止材のPID効果比較セミナー」を開催した。

「故障事例と対策」については産業技術総合研究所の太陽光発電工学研究センターの加藤和彦研究チーム長が、PIDについてはケミトックスの坂本清彦技術統括部長がそれぞれ講演。PID講演でひと際、注目を集めたのが、国内外11社が市販する封止材によるPID効果測定結果だ。比較対象となった封止材はEVA7種類、アイオノマー1種類、オレフィン系樹脂4種、そしてシリコン1種の合計13種類。

試験結果はEVAでもシートによって大きく異なり、最大出力の低下率がわずか0.2〜0.4%の製品もあれば、なかには99.6%まで下がる材料もあり、「PIDに対して耐性をもつものが存在することが解った」と述べる。

その一方で、「アイオノマーとオレフィン系樹脂はPIDに対して安定した耐性を示した。これまでEVAでは対策が困難とされていたが、PIDに耐性のあるセルと適切なEVAを組み合せることで、PIDの対策は充分できる」と解説。

さらに「アイオノマーやオレフィン系を使えば、セルのPID耐性を考慮せずとも対策が可能であることも、試験結果は示す」という。

13種類もの封止材を使った実験は前例がないとするが、今回、ケミトックスが封止材を選んだのも、「太陽電池業界でいまPIDについて様々な対策が検討されるが、効果的かつ合理的な対策としてはモジュールのセルとガラスの間に存在する封止材によって、PIDを抑え込む方法があげられる。現在、封止材として主流なのがEVAであるが、PID対策としてEVAに代わる材料も登場してきた」からだ。

今回の試験結果より「太陽電池モジュールの価格下落が続くなか、コストパフォーマンスを考慮した組み合わせで、PID対策を実施する方法は複数あることが解った」と論じた。

なお、封止材メーカーについては未公開としている。

またセミナーでは、産総研の加藤氏による講演も行われ、全量買取り制度導入に伴うフィールドでの不具合発生の上昇懸念。あるいは長期間にわたる運転で故障、性能劣化などに対する信頼性などを主眼に、実用的な故障診断方法などを解説した。

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