旭化成建材、太陽光発電所に杭基礎工法を提案
今期20件完工へ
建材メーカーの旭化成建材(東京都千代田区、前田富弘社長)は、太陽光発電所の建設に際し、独自に開発した杭基礎工法を積極的に提案している。建築・土木用として1994年の市場投入以来、培ってきた豊富な経験を太陽光発電向けにも活かしている。
同社は、94年に建物や土木用の杭基礎工法として、鉄製の杭を用いた『イーゼット』を開発。これまで3、4階建ての小規模ビルや携帯電話向けの鉄塔などに採用されるなど、累計3万件以上の施工実績を残している。
基礎事業部イーゼット営業部の西井利之部長は、「地上設置で太陽光発電所を建設する動きが活発化するなかで、当社の技術を応用できると考え、昨秋より参入へ向けて準備を開始していた」と経緯を語る。
太陽光発電設備向け杭基礎工法『イーゼットⅡ』は、『イーゼット』を太陽光発電仕様に変更したものである。従来品の杭直径は200〜300㎜が主流だが、太陽光発電向けには直径100㎜以下を新たにラインナップ。地中に埋設する長さは2m以上、押込み支持力は10〜20kN、引抜き支持力は最大10kNとしている。ハネの枚数も性能及び安全性の向上のため、2枚に増やした。
同部の中野知樹マネージャーは、「押込み強度や吹上げ強度など性能について技術的検証も重ねた結果、太陽光発電向けに適した製品を揃えた。基礎として、架台を支える性能を最大限発揮するためにも2m以上、杭を地中に埋める必要がある」と説明する。
なお杭には、地上に露出する部分に、上の鋼板と同じ素材のプレメッキ処理を施しており、長期信頼性も向上させている。
また同社は、安全性や信頼性、品質の面から工事もセットで販売している。杭は全国6拠点で製造、施工用機械は約100台保有、全国対応している。中野マネージャーは、「当社の杭基礎工法は施工性もよく、工期短縮にも繋がる。特殊な地盤条件にも最適な提案が可能だ」と述べる。
7月の全量売電開始以降、8月頃から本格的に需要が伸び始めており、今年度は20件が施工完了する見込みだ。西井部長は、「来年度がピークになるのではないか。500kWから8MWクラスまで様々な案件を手掛けている」と話す。
今後について西井部長は、「まずは施工体制をさらに強化する。施工機械の改良や施工方法の効率化も進めていきたい」と意気込む。