パスポート、産業用太陽光 共同購入システムを提案
濱田酒造グループの酒類・食品販売会社であるパスポート(神奈川県川崎市、濵田総一郎社長)はこのほど、県内の地元企業などを対象に、太陽光発電設備の『共同購入システム』の提案を始めた。扱うのは京セラ製モジュール。FIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)を活用して発電事業を始める事業者を多く集めて、設備を一括で仕入れることによって安く提供する。9月末にも二次募集を締め切る予定だ。
同社の『共同購入システム』を活用すれば、発電事業者は、各自で設備を購入するよりも、初期投資が抑えられる。一方、メーカー側も、その地域の事業者を集めて一括で販売できれば、販売管理コストを低減でき有効だ。これら双方のニーズを汲み取り、同社が仲介役となる。設置工事などの合理化も検討中だ。
同社は1961年鹿児島県いちき串木野市で酒類卸売会社として創業。93年社名をパスポートに変更、本社を川崎市に移転し、酒専門店のチェーン店展開を開始する。その後、リフォーム事業を展開し、京セラソーラーフランチャイズ店に加盟、住宅用太陽光発電システムの販売も手掛ける。
今年4月には、鹿児島県いちき串木野市の工業団地内の地元企業を集めて、合同会社「さつま自然エネルギー」を設立。工業団地内の地元企業の屋根にモジュールを設置し、全量売電する事業スキームを実証した。総事業費は約10億円で、7月1日にも一部設備が稼働しており、今後計計3MW分のモジュールを順次設置していく。
これについて、濵田社長は、「実現するまでには長い道のりで、苦労も多かった。ただ、『さつま自然エネルギー』による太陽光発電事業は、太陽光発電で〝まちおこし〟を進めるという公の考えがあった。それが、行政や地元の金融機関などから協力を得ることができた理由だろう」と語る。