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ケミトックス、長期信頼性及びPIDに関するセミナー、10月31日開催

第三者試験機関のケミトックス(東京都大田区、中山紘一CEO)は、10月31日に東京都港区の品川フロントビルにて『太陽電池モジュールの屋外劣化事例、長期信頼性試験と評価技術およびPID発生原因と対策セミナー』を開催する。

このセミナーはモジュールの長期信頼性とPID(Potential Induced Degradation、電位によって誘発された劣化)にスポットを当てたもの。長期信頼性については、産業技術総合研究所の太陽電池モジュール信頼性評価連携研究体主任研究員である土井卓也氏が、PIDについては、ケミトックスPV試験評価事業部の坂本清彦技術統括部長が発生原因や試験、対策などについて講演する。

これまでも同社ではPIDに関する小規模セミナーを4回開催。坂本部長は「最近特にPIDに対する関心が高くなっている。情報提供のためにも、産総研さんにも参加していただき、もう少し規模の大きなセミナーを開くことにした」と開催理由を述べる。

なお来年1月に第2回セミナーの開催も計画している。

 

PID評価試験を実施

ケミトックスは1975年の設立以来、プラスチック材料の評価などを行ってきた中立的な第三者試験機関。2006年頃からは太陽電池材料評価の需要も増加、08年にはモジュール火災試験を開始。11年夏までにはIEC 61730に沿った試験設備を揃え、体制を整えた。

坂本部長は「当社ではバックシート部材などの太陽電池材料や、モジュールにおける安全性評価試験が行える。ユーザーさんから要求された条件での高温高湿試験や温度サイクル試験など様々な試験サービスが提供可能だ」と語る。モジュール30種類以上、材料20種類以上の評価試験を実施、模擬モジュールの作成も行っている。

そのなかで特徴的な試験の一つが火災試験。「国内において実施できるラボが少ないなか、当社の山梨試験センターでは試験している。モジュール火災試験に加えて、材料の火炎伝播性試験ができるのは日本で唯一、当社だけ」(坂本部長)という。

また、11年夏にはPID評価試験をスタート。試験方法についてIEC規格などがないため、最適な試験方法を調査・検討を重ね、現在では、温度60度、湿度85%、96時間、モジュール表面に水を張り、フレームと内部回路の間に最大システム電圧をかけた試験条件を推奨している。

坂本部長は「基本的にはユーザーさんから指定された方法で実施していくが、実力を把握する必要があると考え、ある程度厳しい試験条件を推奨している。途中取り出し試験も行っている」と話す。

なお、PIDのメカニズムを端的に説明すると、接地されているモジュールのフレームと内部回路に大きな電位差が生じていることに加え、モジュール表面に水分が溜まると、表面全体が高電圧化する。すると、セル内部の電子が高電圧フレームへ流れ、漏れ電流が発生。そして表面からプラスイオンが浸入して、セル表面に拡散、電子と再結合することで発電が阻害されるというもの。

対策としてはシステム、モジュール、セルの3か所いずれかでの対応が求められる。システムにおいては、結晶系太陽電池のうち、P型では負極接地、N型では正極接地といった適切な接地を行うこと。モジュールにおいては、使用しているセルに合わせて適切な封止材を選定すること。セルにおいては、反射防止膜の加工などを行うことである。

坂本部長は「PIDは様々な要因が重なって起こる現象。環境要因もその一つであり、フィールドでのデータ取得のために屋外でのPID実証試験も実施している」と語る。

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