日本気象協会、住宅用太陽光発電簡易診断システム開発
一般財団法人日本気象協会(東京都豊島区、繩野克彦会長)は6月29日、住宅用太陽光発電の簡易診断システム『PV-DOG』を開発した。8月中の市場投入を目指し、販売体制を構築中だ。
同システムは住宅用太陽光発電の実際の発電量と、協会の保有する日射量データから推定した期待発電量を比較することで、太陽光発電システムが正常に稼働しているかどうかを簡易に診断するもの。販売店など運営管理者が、位置情報や設置面、設置角度や容量などエンドユーザー情報を登録。その設置された太陽光発電システムの月間発電量を入力し、期待発電量と月間発電量を比較する。
なお、期待発電量は、気象庁の日射量情報や日照時間データを基に、協会が独自に算出した全国840地点の日射量データから推定している。
同協会は1974年に全国日射量データベースの策定に携わって以来、太陽光発電関連ではNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と、年間時別日射量データベース(METPV)や年間月別日射量データベース(MONSOLA)を共同開発してきた。事業本部環境事業部の井上実地球環境課長は「NEDOからの委託事業で開発した手法を使用している。この算出方法は、推定誤差が少ない点が大きな特長だ」と述べる。
このシステムは、エンドユーザーへ直販するのではなく、販売・施工店や自治体向けに販売していく方針だ。開発担当者の事業本部環境事業部地球環境課の板垣昭彦氏は「追加機器が必要なく、導入も簡単。施工業者のアフターサービスの一環として提供できれば。月1回発電量を入力することで、過去のデータと比較し、故障を早期に発見できる。数値さえあれば、20年前に遡ることも可能だ」と導入の利点を語る。
今後について、再生可能エネルギー推進室の小玉亮室長は、「さらに発展させるため、他企業との共同開発も行っていきたい。よりリアルタイムに近い計測、故障診断も視野に入れている」としたうえで、「当協会のメイン事業は天気予報。大量導入が進むと、系統安定化のためにも〝日射量予報〟が必要になるのでは」と予想した。