新電元工業 新型100kWパワコン、メガソーラー向けに提案
半導体・電源機器メーカーの新電元工業(東京都千代田区、森川雅人社長)は、今年4月に発売した三相3線式・定格出力100kWのパワーコンディショナの販売に力を入れている。2010年8月以降、三相3線式10kWタイプ、単相3線式5kWタイプ、単相3線式10kWタイプと、太陽光発電用のパワコンを順次市場に投入、ラインナップの拡充を図っている。100kWタイプは、10kWタイプとともに、発電事業分野へ提案していく構えだ。
今回の100kWタイプは、屋内設置型で、商用トランス絶縁方式を採用している。絶縁方式は、漏洩電流や地絡電流を防止するなど安全性が向上するほか、商用トランスが不要になるため、トータルコストの低減に繋がる。また、三相の場合、絶縁されているため、接地の制約がなく、いずれの交流結線方式でも接続可能としている。最大変換効率は96.3%で、定格入力電圧はDC345Ⅴ、入力運転電圧範囲はDC325〜600Vとレンジが広い。
東日本支社新エネルギー営業部の池柗幸三第二営業グループリーダーは、「一般的な絶縁方式のパワコンは、変換が1回増えるため、変換効率が低下してしまう。しかし、当社の製品は、変換効率だけでなく、サイズや重量においても、非絶縁方式のパワコンに引けを取らないパフォーマンスが得られる」と特長を語る。なお、同社製のパワコンは、いずれも高周波または商用トランス絶縁方式を採用している。
一方、他の3機種のバージョンアップも行っている。まず、単相100Ⅴの自立運転機能をオプションで搭載可能となった。三相3線式10kWタイプは、自立運転モードで3kWの出力が得られ、他2機種は1.5kWで稼動させることができる。さらに、正極・負極接地のための地絡検出ユニットもオプションで追加できるようにしたうえ、最大入力電圧範囲を500Ⅴから540Ⅴに拡張した。すでに、三相3線式10kW及び5kWタイプは更新済みで、単相3線式10kWタイプも夏までに完了する予定である。
同社は、今後拡大が見込まれるメガソーラー向けに、今回の100kWだけでなく、10kWタイプの提案も強めている。その理由について、池柗グループリーダーは、「①故障時の発電量低下を抑えるリスク分散、②施工費や配線・収納箱などの削減によるコストダウン、③10kW単位でのきめ細かな電力監視が可能、④日射量が少なく得られる電圧が低い時間帯により多く売電できるなどといったメリットがある」という。
なお、子会社の新電元(上海)電器では、中国以外の海外でも今年から自社製パワコンの販売を本格的にスタート、海外でも積極的に展開している。
今後は、蓄電池を制御する機能を搭載したパワコンや、太陽光発電のほか、風力発電やコージェネなど、様々なエネルギー源に対応できるマルチ型パワコンなどの研究開発を進めていく。