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システム・ジェイディー、太陽電池アレイテスター出荷へ

夜間でも検出可能

メガソーラーでの点検の様子と太陽電池アレイテスター「SOKODES」

半導体システム開発ベンチャーのシステム・ジェイディー(福岡市早良区、伊達博社長)は、今年6月よりモジュールの故障診断装置である太陽電池アレイテスターの本格販売を開始する。

同製品は、接続箱から太陽電池をストリングス単位で測定することで、モジュールの故障箇所を特定できる機器。故障箇所の有無を電気的な抵抗値から検出する。セル間配線の断線やバスバーの半田はがれ、設置時の配線ミス、モジュール間の断線などをモジュール単位で発見できる。現在はハイブリッド型含む結晶系太陽電池のみで検出が可能。

最大の特徴は太陽電池が発電していなくても計測できる点だ。伊達博社長は「IVカーブの測定は700W/㎡以上ないと測定が困難なうえ、パワーコンディショナも止めないといけない。この『ソコデス』は発電量に関係なく検査できるため、夜間でも測定を行える」と述べる。

また、接続箱から測定できるため、屋根などに上る必要がない。安全性が高く、操作性も優れていることから、検査時間の短縮や作業効率の向上にもつながるという。

同社は2002年に設立、半導体システム開発やLSI設計受託を主な事業としてきた。PV(太陽光発電)事業への参入は、08年頃に産業技術総合研究所のPVセミナーに参加したことがきっかけ。伊達社長は「半導体は検査が必要だが、PVはメンテナンスフリーと言われていた。本当なのか確かめたくて参加した」と振り返る。

その後、09年度から12年度までNEDO委託事業として新エネルギーベンチャー技術革新事業(太陽光発電)『太陽電池アレイ故障診断技術の開発』に産総研と阪和電子工業と共同で参画。同社が中心となり、産総研がアドバイザー、阪和電子工業がプリント基板などの製造を担った。09年10月に開発を始め、翌年秋には1号機を試作。11年春からは2号機でフィールドテストを行い、完成品に搭載する機能を選定、11年秋に現在の3号機が出来上がった。

主な用途は、住宅用から産業用、メガソーラーまでPVシステムのメンテナンス用として使用するほか、PVシステム設置時の配線確認や動作確認用としても活用できる。

伊達社長は「実際、あるメガソーラーで日没後に500kW分のエリアを点検したとき、2枚のモジュールの不具合を発見した。投資回収を重視する発電事業用にとって、早期に不具合箇所を特定することは重要。また、PV取り付け時に確認用として使用すれば、ユーザーにとっても安心感が増すのでは」と話す。

今後については、メガソーラーなどで採用されている遠隔監視システムと連携させたタイプを接続箱内蔵型として数社と共同開発中だ。伊達社長は「アライアンスを組みながら、廉価版や組み込み型などを開発していければ」としたうえで、「まずは販売体制を構築し、12年8月期に200台の販売を目指している」と語る。

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