富士電機、セル生産にシフト
アライアンスを軸に用途拡大
富士電機(東京都品川区、北澤通宏社長)は、フィルム型薄膜シリコン太陽電池事業を強化するため、モジュール企業らとの連携を軸に展開する新たな動きを見せている。従来はセルからモジュールまで一貫生産してきたが、同社はセル生産に集中し、提携先のセジュールメーカーに供給する。様々な分野の企業と提携し、フィルム型の特性を活かした用途開発の可能性を拡げる。
同社はこれまで、基板にポリイミド製の樹脂を用いた薄膜シリコン型モジュールを生産してきた。発電層を、アモルファスシリコン層と、長波長の光に吸収特性のあるアモルファスシリコンゲルマニウム層のタンデム構造にし、膜圧を薄く保つという独自の技術で開発。モジュールの変換効率は8%程度であるが、軽量で形状を自由に変えられる〝フィルム〟モジュールを実現させた。
現在PVマーケットの主流は結晶シリコン系モジュールであるが、最近はPV市場の拡大とともに〝フィルム〟ニーズが拡大。そこで同社は、11年から、最終製品を手掛ける様々な分野のメーカーと連携することによって、〝フィルム〟市場の掘り起こしを図った。
主な提携先は、東レ、トワダソーラー、田辺工業、住友ベークライト、淀川製鋼所、三晃金属、コアテックなどで現在10社を超える。11年度は全出荷量のうち、セルとして出荷したものが約半分を占めた。
電子デバイス事業本部・光半導体事業部・太陽電池部の髙野章弘担当部長は、「当社製品の強みは、やはりフィルムであること。ただ、自社の努力だけでは、その特長を最大限活かすことができなかった。様々な企業さんと協力することによって、当社の太陽電池が、アパレルやインテリア、シートなど様々な分野に広がってきた」とし、「今後もパートナー企業さんとのアライアンスを拡げていきたい」と語った。