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ABB、PV発電所の国際標準化を提案システム電圧を1千Vに

スイスの電力技術大手、ABB(日本法人・東京都渋谷区、トニー・ザイトゥーン社長)は、PV(太陽光発電)発電所のシステム電圧の国際統一化を強く提案している。直流1000Ⅴが国際標準であるのに対し、日本は直流600V。同社は1000Vに昇圧するとIRR(内部収益率)が2〜3%向上するなどメリットを挙げ、1000V仕様の関連機器を国内で販売していく構えだ。

国際標準化機関のIEC(国際電気標準会議)は、PV発電所の低圧上限を交流1000V、直流1500Vと定めている。このため、欧米諸国をはじめアジア各国では、PV発電所のシステム電圧は直流1000Vというのが一般的で、グローバルスタンダードとなっている。これに伴い、パワーコンディショナなどの関連機器もすべて1000V仕様に設計されている。

これに対し、日本は、電気事業法の関連省令「電気設備に関する技術基準を定める省令」で、低圧上限を直流750V、交流600Vと定め、多くのPV発電所のシステム電圧は直流600V。ただ同省令はIEC準拠の設計も認めており、太陽電池からパワコンまで直流側を全てIEC準拠の機器で構成すれば、直流1000Vの発電所も可能としている。

同社によると、システム電圧を直流600Vから1000Vに昇圧した場合の利点として、①直列接続するパネル数を増やすことで並列回路数を削減でき、部材や機器、施工・メンテナンスのコスト低減が図れる、②電圧上昇によって送電ロスが減るため発電効率が向上し、売電量が増える、③機器の選択肢が増える、④日本企業の国際競争力の強化につながるとし、加えてメガソーラー発電所への投資に対するIRRが約2〜3%改善するとしている。

同社はシステムインテグレータなどと協力しながら、直流1000Vを提案、パワコンや接続箱、集電箱など1000Ⅴ対応製品を供給していく。

11年12月に事業横断的な組織として設立された再生可能エネルギー事業推進部のトップである阪本敏康部長は、「まずは直流1000Vを広めていく。高圧設備は面倒ではなく、イニシャルコストでも価格競争力を持つ。オーナーにとって安く発電し収益が上がればいい」とし、「まずは実績を残したい」と語る。

安全性については、「電圧が上がれば危険と思われるが、当社製品はIECに準ずる上、当社はEPCのターンキープロジェクトも含め世界的な実績も豊富。サービスやサポート体制も整っており、安全性には自信を持っている」。

なお昨秋には、100kW、250kW、500kWの大型パワコンの単独運転検出機能に能動方式及び受動方式の両方を搭載させ、日本仕様に改良している。

ABB 阪本再生可能エネルギー事業推進部長

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