旭ダイヤモンド工業、通期売上高80億円台に下方修正
ダイヤモンド工具大手、旭ダイヤモンド工業(東京都千代田区、川嶋一夫社長)は、三重工場内で稼働するダイヤモンドワイヤの生産体制が、12年4月にも整う見込みだ。同社ではインゴット切断で普及する固定砥粒法の拡大を受け、千葉工場に続く第2拠点として、46億円を投じ昨年年初より装置搬入を開始。11年度から順次稼働に入っていた。
ダイヤモンドワイヤの売上高は11年度中間期37%増となる57億円に達し、うちPV向けが34〜39億円を占めた模様だ。
切削性に優れたダイヤモンド砥粒をワイヤに固定させ、インゴットを切断する固定砥粒法は、SiCなどの砥粒をワイヤに流し込み切断する遊離砥粒に比べ、加工時間の短縮や精度の向上、ウエハ厚の薄膜化ワイヤなどの特徴から普及が進んだ。
しかしながら、「Q2から市場環境は一変し50%に近づいた海外輸出、国内ともに受注が減少。通期売上高は横バイとなる80億円台に止まるだろう」と片岡和喜常務取締役は語る。期初予測の135億円から下方修正を迫られた格好だ。
だが、片岡常務は「骨の髄までターンキー製造が染み付いた中国勢は、今後も遊離で切断するだろう。固定導入にはやはり技術を伴うからだ。だからこそ日本国内でのウエハ生産を支えるひとつが固定砥粒法となり、我々もQ3から価格見直しを進めている」とし、生産体制が整う来期からの反転を目指す。