オルテナジー PCS交換サービス開始
月額制で初期費用不要
太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)などを手掛けるオルテナジー(東京都立川市、髙橋眞剛社長)は2024年11月19日、既設の太陽光発電所を対象とした定額のPCS(パワーコンディショナ)交換サービスを開始すると発表した。利用者は月額費用だけで最新のPCSに交換できる点が特徴で、主に低圧太陽光発電所向けに提供していく構えだ。
同社は、主にFIT開始から10年以上が経過した既設の太陽光発電所を対象とし、利用者には10年契約のもと、月額の定額制でPCSを貸し出す。利用者は設備費だけでなく、交換工事費や保守費の負担もなく、PCSを最新機種に置き換えられる。PCSの障害発生時の対応もオルテナジーが行う。
同社はまず関東周辺でサービスを展開していく。というのも、群馬銀行と提携し、同社子会社のリース会社から同サービスに関する資金を調達しているからだ。オルテナジー取締役経営戦略室の佐藤誉世夫室長は、「今後はそれぞれの地域の金融機関などと連携しながら対象地域を拡大していきたい」と話す。同社は先行販売を始めており、契約実績は約50件に達したという。
FIT開始から12年余りが経過し、初期の低圧太陽光発電所に設置された小型PCSは10年程度で交換時期を迎え、保証期間を終えたものも多い。ただ撤退したメーカーもあるほか、PCSの交換費用は数百万円にのぼる。そこで市場では、初期費用の負担なく、月額費用のみでPCSを交換できるサービスが登場し、同社も対応することを決めた。
もっとも、同社が新サービスを始めたのは、独自に開発した遠隔監視システムの利用拡大も狙いにある。佐藤室長は、「当社の遠隔監視システムは、専用のSIMカードを使い、モバイル専用網による強固なセキュリティ対策を講じている点が特徴だ。サイバーセキュリティは事業者の責務であり、それに貢献できるシステムだ」とし、同システムを新サービスでも活用している。
なお、PCSには主にファーウェイ製の三相・単相PCSを採用。月額費用はPCSの種類や台数で異なる。三相の20kW機であれば、貸出台数が1台で税抜1万3800円から、3台で同2万5800円からとなる。同社は、高圧発電所や屋根上設置にも対応するほか、年次点検や除草作業、パネル洗浄、盗難防止対策などのO&M(管理・保守)サービスもオプションで提供していく。