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中部電力ミライズ、太陽光電力の企業間融通開始へ

静岡県西部の15社が参画

中部電力グループの電力小売り会社である中部電力ミライズ(名古屋市、神谷泰範社長)は2025年1月31日、静岡県西部に拠点を置く15社と連携し、コーポレートPPA(電力売買契約)による再生可能エネルギー電力の地域内融通を始めると発表した。余剰電力を有効利用する仕組みで、他の地域でも拡がるかもしれない。

今回の仕組みは、屋根上に太陽光パネルを設置できる参画企業にオンサイトPPAで太陽光発電設備を導入し、余った電力を別の参画企業にオフサイトPPAで供給するというもの。中部電力ミライズは、静岡県西部の8市町からなる遠州地域に拠点を置く15社と協定を交わし、25年5月から順次供給を始める。太陽光発電設備の合計設置量は5MW程度になる見込みだ。

同社静岡営業本部法人営業部の友井陽介主任は、「遠州地域は日照条件が良く、太陽光発電に適しているが、屋根上設置においては余剰電力を考慮して設備容量を制限する必要があった。そこで屋根のポテンシャルを最大限活用しつつ再エネを求める声に応えようと地域内融通の検討を始めた」と経緯を話す。

参画したのは、アイゼン、イオインダストリー、遠州、キャタラー、クラベ、コーケン工業、コーリツ、古山精機、スズキ、ソミック石川、DOWAメタニクス、浜松ホトニクス、ヤマハ、ヤマハ発動機、ローム浜松の15社。遠州地域内に拠点を持つ点は共通するものの、必ずしも取引のある企業同士ではないという。中部電力ミライズ静岡営業本部法人営業部の山崎能継販売統括部長は「複数拠点での参画もあれば、1ヵ所だけの企業もある。特に余剰電力を活用するオフサイトPPAの供給先の選定に時間を要した」と振り返る。

もっとも、すでに15社以外に参画を検討している企業もあるようで、今後も協定先を増やしていく方針だ。

同社カーボンニュートラル推進本部再生可能エネルギーサービス開発部の宮部孝典課長は、「地域内融通は余剰電力の新たな活用法になり得る。このモデルを他の地域にも拡げられれば」と語る。

今回の仕組みは、電力大手だからこそ構築できた側面もあるが、こうした企業の垣根を超えた再エネ電力の地域内融通は地域脱炭素で注目すべき仕組みと言えそうだ。

中部電力ミライズは静岡県西部に拠点を持つ15社と『遠州脱炭素プロジェクト』を始める。1月31日には記者会見を開いた(写真提供:中部電力ミライズ)

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