住友電工、レドックスフロー蓄電設備発売へ
住友電気工業は2025年内にレドックスフロー蓄電設備の新製品を発売する。主に系統用蓄電所の開発案件向けに提案していく考えだ。
同社はこのほど、従来のレドックスフロー蓄電設備の温度制御やセルの材料を改良し、高性能化を実現した。エネルギー密度を従来比15%上げ、設計寿命を従来比1.5倍の30年間に延ばし、コストを30%削減したという。
そこで同社は、20フィートコンテナ型、30フィートコンテナ型、40フィートコンテナ型と3種類の蓄電設備を商品化し、受注生産方式で販売していく。製品の出力はいずれも334kWで、蓄電容量は20フィートコンテナ型が1000kWhで、30フィートコンテナ型が1334kWh、40フィートコンテナ型が2000kWhである。
レドックスフロー蓄電池は、活物質である電解液中のバナジウムイオンの酸化還元反応を利用した電池で、安全性が高く、長寿命である。ただリチウムイオン蓄電池と比較すると、エネルギー密度が低く、価格は高い。
同社RF電池事業開発部事業企画部国内企画グループの福井宗一郎グループ長は、「設備導入費は割高だが、長期間使用すれば、ライフサイクルコストで優位性がある」としたうえで、「電解液は不燃物で、部品は難燃性部材を使用しているため、消防法上の危険物に該当しない。危険物取扱者の常駐は不要になり、離島などでも導入し易くなる」と特徴を話す。
同社はこれまでにレドックスフロー蓄電設備を日本や米国、欧州、豪州など計44ヵ所に納入し、25年3月末時点で計18万kWhを出荷した。28年までには出荷実績を26.5万kWhまで引き上げたい考えだ。
同社はレドックスフロー蓄電設備の新製品を発売する。写真は同社が柏崎あい・あーるエナジーに納入したレドックスフロー蓄電設備