大阪ガスら 蓄電設備の劣化診断・寿命予測技術開発
大阪ガスは2025年3月31日、定置型蓄電設備の劣化診断と寿命を予測する技術を開発したと発表した。自社のノウハウを組み合わせて、蓄電設備の最適な運用方法を構築したい考えだ。
同社は、100%子会社のKRIと蓄電設備の寿命予測技術を開発した。蓄電池の電流や電圧、温度などのデータとともに、独自の理論モデルを併用し、蓄電設備の劣化状態を診断して寿命を予測する。
大ガスは、KRIの持つ蓄電池の分析や評価技術を用いて、24年度から大阪市内に設置した蓄電設備で実証試験を進めてきた。大ガス電力事業部電力事業開発部蓄電池事業チームの中嶋勇輔副課長は、「蓄電設備の需要が広がるなか、劣化を抑えて長期的に運用する技術が求められている。確立できれば、複数の運用パターンから最適な運用法を選択できるようになる」と語る。
KRIエネルギー変換研究部電池・システム研究室の溝口泰紀主任研究員は、「理論モデルの併用によって、従来の監視データのみの手法よりも高精度な予測が可能になった」と述べた。
大ガスは25年3月時点で3ヵ所、蓄電容量計8.1万kWhの系統用蓄電設備を運用している。事業化に向け、自社の蓄電設備で順次検証していく計画だ。
大ガスの中嶋副課長は、「系統用蓄電設備のほか、発電所併設型蓄電設備などにも展開していく。長期運用に向けて、安全性と経済性の両立に寄与したい」と話した。
大阪ガスらは、定置型蓄電設備の劣化診断と寿命を予測する技術を開発した。写真は劣化診断の技術適用を検証した実証機