TMEIC、初の分散型PCS発売
出力125kW、屋根上設置にも
集中型PCS(パワーコンディショナ)大手のTMEIC(東京都中央区、川口章社長)は2025年3月28日、単機容量120kWの小容量PCSを発売すると発表した。同社初の分散型PCSで、発電事業用や屋根上設置の自家消費用として拡販していく構えである。
新製品は、単機容量120kWの小容量PCSで、全ての変換素子にSiC(シリコンカーバイド)が採用されており、最大変換効率が99.2%と高い。直流電圧は1500V、交流電圧は600Vで、直流入力回路数は1回路、最大入力電流は145A、MPPT(最大電力点追従)制御範囲は875V~1500Vである。
同社産業・エネルギーシステム第一事業部エネルギーソリューション技術部エネルギーソリューション技術第二課の小浦弘之氏は、「安全性や設計の自由度を高めるために直流入力回路を1入力にした。接続箱を使えば、太陽光パネルの高電流化にも対応しやすい」とし、故障停止時に自動で接続箱を遮断する機能も搭載しているという。
また、同社は新型PCSに小型のファンで効率的に冷却する仕組みを導入し、静音性を高めた。集中型PCSの従来機では65dB以上だった1m地点での騒音値を新製品では58dBに抑えた。同社産業・エネルギーシステム第一事業部エネルギーソリューション技術部の橋口弘部長は、「工場敷地内などでの設置も想定しており、近隣に配慮した静音設計を施した。これで敷地の境界線における騒音対策を軽減することができる」と話す。
寸法は高さ1110mm×幅678mm×奥行393mmで、重量は135kg。防塵・防水の保護等級はIP65で、重塩害地域にも設置可能である。故障時には同社が代品を送付し、事業者が故障品を送り返すセンドバック方式を初めて採用した。橋口部長は、「2営業日以内での対応を目指す」と語る。
同社は発売に先駆け、長崎事業所に3台の新型PCSを設置し、25年4月に運転を開始させたという。まずは1機種を発売し、需要などを見極めながら異なる容量帯や機能の追加を検討しつつ、蓄電池用への応用の可能性も模索していく方針のようだ。
なお同社は4月14日に集中型PCSの一部機種の販売終了を発表。4月末までに容量帯が重複していた機種や代替品のある古い機種など計13機種の販売を終える予定だが、予備品の供給や修理、保守対応は一定期間継続するという。詳細は下表の通り。