センコー、蓄電池の物流事業に本腰
物流大手のセンコー(福田泰久社長)は2021年3月29日、蓄電池関連の物流業を拡大すると発表した。蓄電池メーカーに対する原材料の輸送から完成品の出荷、回収物流まで一貫して手掛けつつ、取扱量を増やすことで物流費の低減を狙う。再生可能エネルギーの普及が進むなか、蓄電設備の物流の伸び代は大きいと見ている。
同社は独自の在庫管理システムを導入し、材料や製品の入庫から出庫、配送管理まで行う。住宅用か産業用かは問わない。21年4月には専用の営業窓口を設けた。
マテリアル物流営業本部の中島義雄ケミカル第1営業部長は、「たとえば原材料の調達は他社が行い、完成品の発送は当社が、回収はさらに別の業者が担う場合だと、非常に非効率だ。すべてを当社が請け負う」とし、「仮に調達部材を各サプライヤーが同じ工場へ別々に輸送しているのであれば、それらをまとめて当社に委託すれば、効率化が図れる」と利点を説く。
マテリアル物流営業本部住設・建材営業部の西澤力也課長は、「蓄電池の普及が進むなか、様々な業者が各々課題を抱えている。物流を通して解決に寄与していきたい」と話す。
たとえば、リチウムイオン蓄電設備は電解液を含むため、一定量を超えると危険物倉庫に保管しなければならない。同社は危険物倉庫だけで全国に10ヵ所、計6000坪以上の広さを保有しているため、同社との協業によって、蓄電池メーカーは在庫を管理しやすくなるだろう。
あるいは、蓄電設備の施工業者が不足している問題もある。同社は、簡易施工まですることで、工事工数の削減に努める考えだ。同社の物流や簡易施工の手法に、蓄電池メーカー側が合わせることによって、輸送費や工事費を抑えられるとしている。