ウェザーニューズ、電力市場取引向けに気象データを拡充
気象予測のウェザーニューズ(千葉市、草開千仁社長)は2021年5月17日、電力の需要予測や発電量予測に必要な気象データをまとめた『ウェザーテック・フォー・エナジー』を拡充した。衛星画像や観測データで解析した日射量や気温など全7要素の1㎞メッシュの実況解析データを追加した。電力市場取引に合わせ、30分ごとに提供する。
同社は、気象庁の無人観測システム『アメダス』の10倍にあたる1万3000地点の観測網で得た気象データを活用する。環境気象事業部の武田恭明マーケティングリーダーは、「解析点は全国に38万点ある。気象庁のデータでは20㎞弱毎しか得られない日射量なども1㎞メッシュで提供できる」と語る。
さらに同社は、6月より過去の気象予測のデータも1㎞メッシュで提供する。日射量と実発電量を比較した故障検知のほか、発電量予測の精度向上にも役立てられそうだ。
需要予測や発電量予測の要求に特化し、気象データでは予測値の上限と下限の誤差幅を示す気温EPIと全天日射量EPIを提供。気温EPIでは最も角度の高い予想気温だけでなく、予想気温の下ブレ予測、上ブレ予測を同時に取得できるようにした。
当日運用やスポット市場、週間や月次など、各電力取引に必要なパッケージを用意し、当日運用向けには6時間先までの常時予測を30分毎に、スポット計画向けには数時間毎に72時間先まで短期予測できるようにした。
同社は20年12月にサービスを開始。冬季限定の無料の試用期間を設けたが、21年度中まで延長する。武田マーケティングリーダーは「当初は、電力小売り業者向けの提供を想定していたが、アグリゲーションに参入する事業者や太陽光発電の発電事業者から過去の気象データを用いて分析したいという要望もある。幅広く使ってもらえるように試用期間を延長した」と話す。
過去の気象データは、顧客の要望に合わせて解析地点と過去の必要期間のデータを抽出して提供する。気象予測のデータは最低1年の契約期間を設ける。