古河電工、新型の鉛蓄電池開発
リチウムと比べ価格半減
電線大手の古河電気工業(小林敬一社長)は2020年6月、新型鉛蓄電池を開発したと発表した。現在市場で取引されているリチウムイオン蓄電池の半値以下で提供できるという。21年度に試験出荷を始め、22年度にも製品化する計画だ。
同社は1枚の電極基板の表裏に鉛箔の正極と負極を接合する『バイポーラ型』蓄電池を生み出した。従来品に比べ、材料を削減でき、体積当たりの容量を増やした。電極基板を積層化するため設計自由度を高くできるという。
これまで技術的に課題だった鉛箔の薄箔化や、鉛箔と外装に使う樹脂プレートとの異種材料接合を克服した。子会社で電池加工技術を要する古河電池と取り組み、古河電工独自のメタル・ポリマー素材力を活用したという。
太陽光発電や風力発電などの変動電源が増えることで、最大電力消費を抑える長周期用途の蓄電池需要が高まっていることから開発に着手した。5時間かけて充・放電する仕様とした。蓄電容量50Ah、定格電圧48Vの蓄電池と、蓄電池管理ユニットを合わせて提供する。蓄電池の複数組み合わせを可能とし、メガワット級品としても使用できるようにした。今後は充・放電の大電流化や高速化に対応できる研究を進めていく。