中インリー再建計画を地裁が承認

2020.12.05

PVeye

 経営再建中の中インリーグループは2020年11月20日、太陽光パネルの製造会社インリー・エナジーの再建計画を日本の地方裁判所にあたる保定市中級人民法院が承認したと発表した。今後は外部から資本注入を受け、新しい経営体制のもとで太陽光パネルの製造・販売を継続していく構えだ。

 インリーは、再建計画の素案をもとに債権者から合意を得て6月9日、人民法院にインリー・エナジーの業務再構築申請を行った。当初はインリー・エナジーを含め複数の事業会社の株式を保有する持ち株会社のインリー・グリーンエナジーホールディングスを存続させ、パネル製造子会社のインリー・エナジーを再建する計画だったが、9月24日にはインリー・グリーンエナジーホールディングスを清算すると発表。これにより、インリーグループが販売してきた太陽光パネルの保証債務はインリー・エナジーがインリー・グリーンエナジーホールディングスから引き継ぐこととなる。
 一方で、裁判所が選任した管財人のもとインリー・エナジーの再建計画が策定され、10月19日に管財人が人民法院に計画の承認を求めたところ、11月20日に正式に認められたという。インリー・エナジーは、債務の大部分を同社の株式に転換して債権者に譲渡するデッド・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を実施しつつ、第三者による資本注入を受ける。新しいインリー・エナジーの資本金は20億人民元(約300億円)程度になる模様だ。
 インリー・エナジーは新しい経営体制のもとで設備投資を行うという。保定市内に年産能力5GWの太陽電池セル工場と2GWの太陽光パネル工場を、天津市内に年産能力3GWの太陽光パネル工場をそれぞれ新設するとしている。
 インリーは12年から2年連続で太陽光パネル出荷量世界首位の座に就いたが、技術革新や価格競争に敗れ、業績を落とし、15年には債務超過に陥った。政府系金融機関の中国開発銀行などから異例の返済期限延長や追加資金注入を受けてきたが、長らく赤字経営を抜け出せなかった。今回の再建を経て、かつての輝きを取り戻せるのか。再建への道のりは始まったばかりだ。