HIT太陽電池が世界最高変換効率24.7%を研究レベルで達成
2013.02.12
パナソニックは、HIT®太陽電池で、実用サイズ(100cm²以上)の結晶シリコン系太陽電池の変換効率としては世界最高となる24.7%を、セル厚み98µmにて、研究レベルにおいて達成しました。
今回達成した変換効率は、HIT®太陽電池の過去最高値(23.9%)を0.8ポイント、これまで実用サイズ(100cm²以上)で報告されている単結晶シリコン太陽電池の最高値※3を0.5ポイント上回る値であり、HIT®太陽電池が極めて高い変換効率を有していることが実証できました。
また、セル厚み98µmで世界最高効率を更新できたことは低コスト化の観点でも意義は大きく、今後とも他社に対する差別化戦略として高効率化と低コスト化の両立を推進していきます。
◆高効率化を可能にした要素技術の概要
(1)再結合損失の低減
HIT®太陽電池の特長は、発電層である単結晶シリコン基板表面に高品質のアモルファスシリコン層を積層することにより、電気の素であるキャリア(電荷)※4の再結合損失※5を低減できることにあります。今回、単結晶基板上に、より高品質なアモルファスシリコン膜を基板表面へのダメージを抑制しながら形成する技術を確立しました。その結果、キャリアの再結合損失を低減し、開放電圧(Voc)※6を従来の0.748Vから、0.750Vへと改善しました。
(2)光学的損失の低減
太陽電池セルの高電流化には、セル表面に到達した太陽光を、より損失少なく発電層である単結晶シリコン基板に導く必要があります。今回、HIT®太陽電池において、単結晶シリコン基板を覆うアモルファスシリコン層および透明導電膜層の光吸収損失を低減するとともに、セル表面のグリッド電極の面積を減少させることで遮光損失も低減しました。その結果、短絡電流密度(Jsc)※7を38.9mA/cm²から39.5mA/cm²へと改善しました。
(3)抵抗損失の低減
太陽電池セルでは、発電した電流を表面のグリッド電極に集め、外部に取り出します。今回、高アスペクト化※8など、グリッド電極の改良を行うことで、電流がグリッド電極中を流れる際の抵抗損失の低減に成功し、その結果、曲線因子(FF)※9を0.822から0.832へと改善しました。
今後、今回開発に成功した高効率化技術の量産品への適用を進めるとともに、さらなる高効率化、低コスト化、省資源化を目指した技術開発に取り組みます。