法人自家消費に最適!
ファーウェイ中型蓄電設備の魅力
蓄電池パックの個別管理で充放電を最適化
ファーウェイがこのほど開発したのは、工場や倉庫などの法人自家消費用に使いやすい出力100kW、蓄電池の実効容量196kWhの中型蓄電設備だ。小型や大型蓄電設備と同じく安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン蓄電池を採用し、運転温度範囲はマイナス30℃からプラス55℃までと広い。提供時には長期の製品保証に加えて、蓄電容量保証も付与する予定だ。
最大の特徴は、蓄電池パック1個ずつにBMU(蓄電池管理制御装置)を搭載したこと。一般的な蓄電設備は複数の蓄電池パックをまとめた設備全体を1つのBMUで制御しているが、それでは蓄電池パック間の経年劣化の違いなどによって、SOC(充電状態)にバラつきが生じ、劣化が進行したり、放電電力が減少したりする恐れがある。そこで同社は、それぞれの蓄電池パックに専用のBMUを搭載。細かく制御することで蓄電池パックの充放電を最適化し、SOCのバラつきによる性能低下を最小限に抑えたのだ。
個別管理の利点はそれにとどまらない。蓄電池パックごとにBMUが電流・電圧を計測監視しているため、内部短絡などの異常を早期に検出できるほか、BMU付きの蓄電池パックがそれぞれ独立した制御を行っていることから仮に1台が故障しても他の蓄電池パックに影響を与えない。
ファーウェイ・ジャパンデジタルパワー事業部の張振東プロダクトディレクターは、「当社は安全性を重視しながら、長く使える製品づくりを追求しています」としたうえで、「蓄電池パックを個別管理することによって、蓄電池の性能を最大化し、安全性を高めました」と説明する。
つまり、長く安定的に使えるため、初期費用だけではなく、管理・保守費などを含めた使用期間中のLCOS(均等化蓄電原価)の削減を実現した蓄電設備なのだ。もちろん、初期費用についても、世界有数のPCSかつ蓄電設備メーカーである強みを活かし、「競争力ある価格帯で提供していきます」(張プロダクトディレクター)。
新製品の中型蓄電設備は2022年6月に受注を開始し、9月末から出荷する予定だ。同社はそれ以外にも、出力4.95kWで蓄電容量5~30kWhに対応した小型蓄電設備や、同1000kW、蓄電容量2064kWhの大型蓄電設備も揃えている。新製品の中型蓄電設備を含めて、用途や規模に合わせた使い分けが可能である。
産業用蓄電設備の導入にあたっては、環境省の『ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業』など活用できる補助金もある。新たに検討を始めようとする企業のほか、これまで蓄電設備の導入を検討したものの、費用の問題などから諦めていた企業も再検討の余地がありそうだ。