台・モアイグリーンパワー、蓄電池販売開始
5万円/kWh~
台湾の蓄電池メーカー、モアイグリーンパワーが日本で蓄電池の販売を始める。価格競争力と供給力を強みに拡販していく狙いだ。
電力需給に応じた再生可能エネルギーの普及拡大に向け、行政が蓄電設備の導入を促しており、蓄電設備の需要が伸びている。オンサイト型の太陽光発電設備に併設されたり、電力系統に直接接続されたり、今後は太陽光発電所に併設される機会も増えそうだ。
ただ、産業用の蓄電設備は、安いものでも1kWhあたり7万円程度はかかり、施工費も含めると10万円以上もする。いまだにコスト低減が普及促進への大きな障壁となっているのだ。
この状況下、日本市場へ参入したのが台湾の蓄電池メーカー、モアイグリーンパワーである。同社は2019年に蓄電池製造に着手し、累計200万kWhに及ぶ蓄電池を台湾や米国へ出荷しており、このほど日本で販売する体制を整えた。
日本では、産業用蓄電池と発電所併設用蓄電池に加え、系統用蓄電池を販売する。蓄電池単体、あるいは中国製のPCS(パワーコンディショナ)と組み合わせた蓄電設備を販売する構えだ。
蓄電池単体では蓄電容量102.4kWh品と215kWh品を、PCS込みの蓄電設備は蓄電容量90.12kWh・出力30kW品と122.88kWh・30kW品をそれぞれ商品化した。顧客の要望次第では日本製のPCSに変更することもできるという。
着目すべきは、製品の価格帯だろう。一定量以上の購入を前提としつつも、同社は蓄電池単体を1kWhあたり5万円台で、PCS込みの蓄電設備を8万円台で販売する予定だ。そのためにも、中国の大手蓄電池セルメーカーからリン酸鉄リチウムイオン蓄電池セルを大量に調達し、台湾の自社工場で量産して製造原価を抑えている。さらには流通費の削減を狙って、日本のEPC(設計・調達・建設)企業へ直接製品を卸すことも想定している。
もっとも、同社は09年より可搬型小型蓄電池を、14年よりウェアラブル機器をそれぞれOEM(他社ブランドでの生産)する過程で中国の蓄電池セルメーカーと信頼関係を築いた。それだけに、蓄電池セルを安く安定的に調達でき、注文から3ヵ月以内に納品する体制を築いたという。
日本の電力取引市場への対応も進めている。蓄電池には自社製のBMU(蓄電池管理制御装置)を導入したうえ、そのBMUには、翌日のJEPX(日本卸電力取引所)価格に応じて最適な蓄電池の充放電計画を作成できる機能を搭載させたという。
日本では、蓄電池メーカーのOEMも手掛けていく方針だ。同社の供給力が評価され、すでに大手総合商社との商談が成立したという。これを機に、EPC企業も、モアイグリーンパワーの蓄電池の取り扱いを検討してみてはどうか。