ESIが示した

売価14円時代のパネル選び

国内外の様々な太陽光パネルを扱うヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が、売価14円時代のパネル選びについて、ひとつの指針を示した。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち)1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。

今年4月から売電単価が14円まで引き下げられるということになり、予想以上の減額幅に対して、困惑されていらっしゃる方が多いようにお見受けします。実際、年明け早々、当社には全国の販売・施工会社の方々から多数のお問い合わせをいただきました。

とりわけ、太陽光パネルに関しては、安価な単結晶シリコン型パネルしか選択肢がないと捉えられる方も多いのですが、果たしてそうでしょうか。今一度冷静にシミュレーションしてみることが肝要です。

実際に、太陽光パネル70kW、PCS(パワーコンディショナ)49.5kWの低圧太陽光発電所を売電単価14円で開発するという条件で、シミュレーションしてみましょう。年間の日照時間を1100時間とすると、年間発電量は7万7000kWh、お客様の年間売電収入は107.8万円です。

これを表面利回り10%の投資商品として売り出すためには、販売・施工会社さんは1000万円まで値下げしなければなりませんが、土地代と土地造成費の150万円、さらに連系負担金の50万円は下げようがないので、要は、設備の原価と施工費に利益を乗せて800万円で提供できるかどうか、ここがポイントです。

さらに細かくコスト構造を見ていくと、49.5kW分のPCSを130万円、架台をkWあたり1万〜1.2万円で調達できれば、その他のケーブル代や施工費も含めたBOS費(パネル以外の周辺機器、工事などコスト)は430万円程度に抑えられるでしょう。逆算すれば、70kW分のパネル調達費に300万円程度かけられるので、パネル調達費の上限はW単価42円、つまり高効率な単結晶型パネルも選択できるのです。

さらに申し上げれば、より安価な多結晶シリコン型パネルも有効です。実際に、高効率な単結晶型パネルと多結晶型パネルを比較して、それぞれの特徴を見てみましょう。この場合、土地代や土地造成費、施工費などが、それぞれ等しく発生するという前提のもと、両パネルをそれぞれ240枚設置することにします。

単結晶型パネル320W品を240枚設置すると、出力は76.8kWですから、年間日照時間を1100時間、売電単価を14円とすると、年間売電収入は118.2万円です。これに対し、多結晶型パネル275W品の場合、出力は66kWとなり、年間売電収入は101.6万円ですから、単結晶型パネルの方が年16.6万円、20年間で332万円多く稼げるのです。

ただ、当然ながら両パネルの初期導入費は異なります。単結晶型パネル320W品の調達費をW単価42円、多結晶型パネル275W品を同35円とすると、単結晶型パネル240枚の初期導入費は322.5万円、多結晶型パネル240枚は231万円となり、多結晶型パネルの方が91.5万円安く仕入れられます。

つまり、私が販売・施工会社の方々に申し上げたいのは、まず、売価14円時代になっても、安価な単結晶型パネルだけでなく、多少高額な高効率単結晶型パネルや、逆にさらに安価な多結晶型パネルも選択肢になり得るということです。

さらには、初期投資額を早期に回収されたいお客様にはより安価な多結晶型パネルが有効ですし、20年の長期にわたって発電事業を継続されたいお客様には、むしろ高効率な単結晶型パネルを提供される方がお客様の希望に沿えるのではないでしょうか。

ウェブサイトはこちら