[特別対談第29回]

進歩するパネル診断

ヤマシタ電気 山下幸司社長 ✕ ESI 土肥宏吉社長

プロフィール●山下幸司(やました・こうじ)1979年東京都生まれ。2003年工学院大学電気工学部卒業後、大手広告代理店に入社し、代理店営業に従事。07年ヤマシタ電気に入社、18年5月より代表取締役に就任。

土肥氏●なるほど、画期的な手法ですね。ドローンで撮影された後は、画像を分析されるサービスまで提供されるのでしょうか。また報告書などの提出にどれくらいの期間がかかりますか。

山下氏●撮影した動画はSDカードに保存されるので、ラボに持ち帰って解析し、不具合の原因を究明します。さらに、パネル本来の実力値に比べてどれほど発電が低下しているのか、報告書にまとめます。現状は報告書の提出に1〜2週間かかりますが、今後はAI(人工知能)などを導入し、測定日の数日後にはお渡しできるようにするつもりです。

実はこの報告書やアフタフォローこそが重要なのです。EL検査でパネルの不具合を発見するだけでは、たとえば、パネルを交換して売電収入は増えたものの、パネルの交換費の方が多くかかってしまったということが起こり得るからです。我々は、事業者様の利益の最大化を念頭にEL検査を提供していく考えです。

土肥氏●貴社のEL検査は、まず竣工前検査に有効だと思います。竣工前に、I‒Vカーブ測定や解放電圧測定、あるいはサーモグラフィカメラで検査しても、その太陽光発電所が100%正常に稼働している状態なのか、正確には分かりません。そもそも調べようがないので、検査方法が確立されているようでないのが実情です。ところで、いつから検査サービスを開始されるのですか。お値段も気になるところです。

山下氏●今年4月からサービスを本格的に開始します。価格は、1MWあたり200万円前後を目安に提供できればと考えていますが、1MWの太陽光発電所といっても、地上設置があれば、屋根上設置もありますし、山奥に建設されたものや水上のフロート式もあるので、価格については、どうしてもケースバイケースにならざるを得ない点もあります。それでも、従来と比べて10分の1以下の価格帯で提供できますので、きっと、事業者様のお役に立てると思います。

土肥氏●現実的な価格帯ですから、今後現場でのEL検査が標準化されるような気がしてなりません。とくに、昔のパネルは不良率が高いので、この検査法は、O&M(管理・保守)やセカンダリー取引の際のデューデリジェンス(与信管理調査)などに広く利用されるようになるでしょう。

ともあれ、画像はインパクトがあります。疑いようのない証拠ですから、それに基づいた貴社のEL検査が客観的な検査法として確立されると、これまで曖昧だったパネルメーカーさんの責任範囲、EPC(設計・調達・建設)企業さんの責任範囲が明確になります。これは様々な問題を解決する手立てになるので、非常に可能性を感じます。

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