[特別対談 第28回]

ドイツで進む自家消費

土肥氏●30年耐久パネルと、安全性に配慮した蓄電池という組み合わせは、まさに住宅オーナーの自家消費利用を目的とした設備ですね。やはりドイツでは太陽光発電の自家消費利用が進み、住宅用蓄電設備の需要も旺盛なのでしょうか。

 

パットベルグ氏●はい。蓄電池の需要は堅調です。ここ数年は件数ベースで年間30000件程度の市場が創出されています。

ドイツでは蓄電池の末端価格が4.8kWh1台5000ユーロ(約64.6万円、kWhあたり13.5万円)ですから、ユーザーはいくらか利益が出るのです。つまり、ドイツでは電気代がkWhあたり0.3ユーロ(約39円)と高いので、太陽光発電設備と蓄電設備を購入しても、昼に太陽光発電で発電した電力を蓄電池にためて夕方から夜間にかけて消費すれば、充分元が取れるのです。

もちろん、蓄電池市場が拡大した背景には、ドイツの消費者の強いグリーンエネルギー志向もありますが。

 

土肥氏●ドイツでは、かつてFITの導入によって太陽光発電の売電市場が急拡大しましたが、その後売電単価が下がり、マーケットが急冷しました。それだけに、日本では、ドイツの太陽光発電市場は終わったと捉えている方が多いのですが、その後、ドイツでは自家消費市場が少しずつ拡大しているのでしょう。現在、ドイツの太陽光発電の市場規模はどのくらいでしょうか。

 

パットベルグ氏●そうですね。ここ数年は1.2GW規模で推移しています。ただ、先ほど申し上げたように蓄電池の需要もあります。太陽光発電設備に加え、蓄電設備も自家消費目的で導入されている点を捉えれば、ドイツの市場は健全に成長していると言えるのではないでしょうか。

 

土肥氏●確かに、FIT全盛期の乱高下する市場環境と比べれば、企業は先の見通しが立てやすく、その点、健全と言えるかもしれません。ともあれ、やがて日本もドイツのように自家消費市場が立ち上がるので、その時、企業はどのように展開していくべきか。今からドイツの状況をよく見ながら、対策を立てておくべきでしょうね。

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