ESI土肥社長が語る
非常用電源としての太陽光
非常用電源として太陽光発電設備はどうあるべきか。北海道の大停電を踏まえ、太陽光商社ESI(ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション)の土肥宏吉社長が見解を語った。
──北海道で大地震が発生し、全道が停電に陥りました。
私は偶然、地震発生の前日から北海道におりまして、前日は北見の施工会社さんを訪問していました。その後、釧路へ移動し、地震が発生した6日未明は釧路のホテルに滞在していました。夜中の3時過ぎに、非常灯が点灯して明るくなったので、おかしいなとは思いましたが、釧路は震源地から離れており、大きな揺れを感じなかったので、まさか大地震が起こったとはその時は想像もつきませんでした。
ただ、朝になっても、停電と断水が続いていたので、携帯電話で情報を収集し、そこで初めて大地震の発生を知ったのです。この時点では携帯電話はつながっていたので、基地局のバックアップ電源が働いていたのでしょう。
──地震が発生した6日はどのような状況だったのですか。
6日は釧路の販売・施工会社さんとお会いする予定があり、レンタカーで移動しましたが、道中のすべての信号はついておらず、たまたま営業していたコンビニでは、おにぎりやサンドイッチがすべて売り切れていました。
釧路の販売・施工会社さんは、お客様から自立運転への切り替え方に関する問い合わせが多かったようで、真摯に対応されていました。お客様は非常に喜んでいたようで、そのような様子を伺うと、住宅用太陽光発電設備はとても役立ったように思います。
その後訪れた帯広の販売・施工会社さんは、自社の敷地内に建てた出力20kW程度の低圧太陽光発電所を自立運転に切り替えて電源を確保されていました。皆さんパソコンや携帯電話を充電したり、自宅から炊飯器を持ってきて米を炊いていたり、太陽光発電は非常時にとても機能するものだと改めて感じましたね。
北海道ではおおむね2日間にわたって停電が続きましたから、今後は太陽光発電の非常用電源として機能面が見直されるのではないでしょうか。
──では、逆に太陽光発電の課題はありましたか。
帯広にはメガソーラーがたくさんありますが、恐らく地震で壊れた設備はほんとんどなかったでしょう。それでも、停電時は系統側の受入体制が整わないため、太陽光を系統に活用できず、当然売電できないのです。
とはいえ、太陽が照れば、太陽光パネルは発電する能力を備えます。仮にも、住宅用太陽光発電設備のようにPCSの設定で自立運転に切り替えることができれば、非常用電源として役立てることができるはずです。もちろん夜間は発電せず、雲がかかれば発電量が落ちるなど、不安定ではありますが、それでも非常時に電源を供給できるという機能はとても重要です。
この課題を解決するためには、制度面の改定や設備の変更などが伴い、容易ではないのでしょうが、今後、業界を上げて取り組むべき問題ではないでしょうか。
いま、太陽光発電が地域住民から受け入れられていないという問題がありますが、たとえば「非常時には周辺住民の方々に電源を開放します」というようなことができるようになれば、どうでしょう。太陽光発電への印象は大きく変わるように思います。