話題沸騰!
ファーウェイ製低圧PCSの実力
故障率の低さに自信
福岡部長は、「当社の主軸事業は、通信、デバイス、そしてPCSの製造です」とし、「通信やデバイスで培った経験や技術力が、PCSの開発に活かされています」と説く。
例えば同社のPCSはファンやヒューズといった壊れやすい部品を備えていない。これは、自然空冷式を採用している基地局機器の設計思想が活きている。同社のPCSが他社製品と比べ小型で軽量なのも、デバイスで培った技術開発力の賜物と言えるだろう。
福岡部長は、「基地局機器は品質管理が非常に厳しい。この厳格な品質管理体制は、PCSの製造工程にも適用しています」と話す。
同社はPCSの製造工程で1400超の試験を実施し、高い品質を追求し続けている。その結果、18年3月までに出荷したPCS75GW分を対象に、自社で故障に関する調査を実施したところ、製品不良が原因の故障率はかなり低いという。
福岡部長は、「今夏日本は異常気象に見舞われましたが、当社は、より高温多湿な中東地域へ製品を多数出荷しています。日本で販売した低圧向け製品は、今のところ1台も故障していません」と胸を張る。
高機能かつ高耐久な製品が市場で高く評価された結果だろう、大手調査会社IHSによれば、ファーウェイは15年から3年連続で、PCS出荷量世界第1位を達成した。
著しい成長の理由は惜しみない投資である。同社は毎年売上高の15%を研究開発に投じているという。17年における同社の売上高は約10.5兆円だったから、今年の研究開発費は実に1兆6000億円にのぼる。
同社は来年に向け、低圧と高圧それぞれに向けた新製品を準備しているという。福岡部長は、「詳細については現時点では伏せるが、圧倒的な競争力を持つ製品を市場投入する」と自信を見せる。
日本市場について、福岡部長は、「非常に重要な市場だと捉えている」と語る。というのも昨年20GW超出荷した中国は、今年5月末までに昨年の実績を超えたものの、6月末以降は政府の政策転換により年内の太陽光発電所の新規開発は見込めなくなった。日本はこうしたリスクが小さく、年間数GWの導入が見込める市場だ。「中国政府の方針転換により、中国のPCSメーカーの多くが日本市場をターゲットに据えている。安いが低品質な製品を売るメーカーが多数参入してくる恐れはあるものの、日本のお客様は良質な製品を見る目をお持ちだ。当社の優位性を打ち出せる」(福岡部長)。
世界で存在感を増し続けるファーウェイからしばらく目が離せそうにない。