[特別対談 第27回]
自家消費新時代への扉
インリー・グリーンエナジージャパン 山本譲司社長 ✕ ESI 土肥宏吉社長
土肥氏●ところで、自家消費時代の評判の良いパネルとして、貴社のN型単結晶パネル『PANDA』がありますね。高出力で、低照度時によく発電するうえ、真夏の高温時も出力低下が少なく実発電量が多いとお伺いしました。両面発電タイプも発売されましたが、反響はどうでしたか。
山本氏●お陰様で想定以上に良いですね。リピーターが多く、日本のお客様からは高い評価をいただいています。実際、雨の日にオフグリッドハウスに乗せた6.5kWのPANDAの出力を測ったところ1.9kWも発電していました。この時、他社のパネルはほぼ発電していなかったので、改めてPANDAの性能の良さを実感しました。
ですから、昨春発売したPANDAの両面発電タイプは、自信をもってお勧めしています。
両面発電タイプは、高い実発電量に加え、裏面も発電するため、表面の雪が解けやすくなるというメリットもあります。さらに、バックシートを使わない両面ガラス仕立てなので、長期耐久性に優れ、出力保証の期間は30年です。ですから、結果として自家消費に向くパネルと言えるでしょう。
土肥氏●それは非常に楽しみですね。貴社のPANDAのように、パネルの性能やパフォーマンスが日々進化しているので、今後は従来のW単価だけではなく、設備の実発電量やパフォーマンスを精度高く客観的に評価するような仕組みが必要でしょう。とくに自家消費市場の発展には、不可欠であるように思います。
山本氏●自家消費の進化形であるオフグリッドについて言及すれば、まず電力の需要曲線とその分布の把握が重要です。オフグリッドシステムで電力を賄おうとすると、いかに電力需要の近くに紐づけて電力供給用の発電設備を導入するかが肝ですが、太陽光発電のポテンシャル、つまり太陽光発電の賦存量は、土地や屋根、池などのスペースに限られるため、逆にその賦存量に合わせてデータセンターやハウスファームなどの需要設備を設置していくことも重要だと考えています。
とはいえ、自家消費が普及するかしないかは、単純にコストでしょう。設備を3〜4年で回収できる絵を描ければ、確実に普及します。私の試算では、すでに4年回収は射程圏内です。
土肥氏●いまESG(環境・社会・企業統治)投資の拡大に伴い、『RE100』の加盟企業数が増加していますし、様々な角度から追い風が吹いているように思えます。ただ、日本における自家消費の普及に関しては、再エネの導入によってエネルギーコストが下がり、顧客にメリットが出る水準まで設備のコストが下がるか否かが鍵でしょう。自家消費新時代の扉は間もなく開かれるように思います。