[特別対談 第24回]

向上する中国クオリティ

スメックジャパン 張弩社長 × ESI 土肥宏吉社長

張氏●ブラックシリコンタイプと、当グループ独自のMWT(メタル・ラップ・スルー)技術を導入したタイプのパネルがあり、双方とも日本で販売しています。

まずブラックシリコンは、セルの表面にナノレベルのテクスチャ構造を設けて光を吸収しやすくする技術です。ブラックシリコンは一般化した技術で、他のメーカーも取り入れていますが、当社のブラックシリコンは、ダイヤモンド形状の独自のテクスチャ構造を設けるもので特許を取得しています。ブラックシリコンタイプは通常のパネルと比べて朝夕などの低照度時によく発電するのが特長です。

一方のMWTは、セル表面のバスバー電極を取り除く技術です。レーザーでセルを穿孔し、表面の細い電極で集めた電流を穴の中の銀ペーストを介して裏面に誘導、セル裏面で電極を繋ぐ仕組みです。表面にバスバーがないため、受光面積が増え、3%程発電量がアップしますし、構造上PIDは発生しません。経年劣化率も小さく、バスバー電極を除去したために鉛フリーで環境にもよいのです。

現在、MWT導入の単結晶型は、300W品と305W品ですが、今年10月には310W品を発売します。MWT多結晶型は、現在285W品と290W品ですが、近々295W品を売り出します。

 

土肥氏●なるほど、MWTだけでなく、ブラックシリコンも、独自の技術を追求されているのですね。

しかし技術の進歩は、自社開発、自社製造を続けられる環境が整っているかどうかが非常に重要だと思います。つまり、前提としてグローバルな市場価格についていけるだけの競争力があって、適正な利益を得ながらパネル製造を続けられる事業基盤があるかどうかということです。それが確固として存在するメーカーならば、自ずと技術を高めることができるでしょう。

そう考えれば、競争力のある中国製品の性能が徐々に向上していくのは、自然の流れなのかもしれません。

 

張氏●おっしゃるとおりです。だからこそ、当グループでは、パネルの製造委託は禁止されています。なかには、規模拡大のため、原価低減のために、他社に製造委託されているメーカーもありますが、それをしてしまうと、品質を均一に保つことができないと思うので、当社では自社工場で生産した製品しか出荷していません。この辺りは品質管理の観点から徹底しているのです。

 

土肥氏●それは非常に重要なことだと思います。結局、品質の差に関しては、中国メーカーだからどう、日本メーカーだからどうということではなく、元はメーカー各社の品質に対する捉え方の差であって、それがそのまま製品に映し出される。つまり、技術的な部分よりも思想や理念が大きく関係するように思います。

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