[特別対談 第19回]
未来を変える単結晶技術
ンジ・ソーラー・テクノロジー 秦超社長 × ESI 土肥宏吉社長
土肥氏●日本の太陽光発電市場は今後厳しくなると思いますが、どのような販売戦略をお持ちですか。確かに、高品質・高性能な単結晶パネルを割安に販売できるという商品力は大きな武器になると思いますが。
秦氏●現在はPERC技術を導入した60セルの300W品と72セル360W品が主力製品ですが、来年には60セル305W品と72セル365W品を発売します。
市場が仮に縮小しても、単結晶は多結晶からの移行が進むために潜在需要はまだまだあると思っています。ただし、当社は多結晶メーカーさんを競争相手と捉えていません。化石燃料系のエネルギー会社がライバルになると考えています。
土肥氏●太陽光発電のコストは劇的に下がっています。FITがやがて終了すると、火力発電などの既存電力との競争になります。すでにそこを見据えていらっしゃるのでしょうね。
ところで、私はさらなるコスト低減を実現していくうえで高効率化が鍵になると思っています。発電所開発のコスト構造を見ますと、目立つのが土地造成費と系統連系費です。系統連系費はなかなか切り込む余地がないのですが、土地造成費はパネルの高効率化によって削減できます。高効率であればあるほど、設置面積を抑えることができ、それによって土地代も減りますが、それ以上に造成費の削減が可能になります。これは非常に重要な要素です。しかし、単結晶型のコストをここまで下げることができたのは、ほかでもない貴社の功績だと思いますが、どのような努力があったのでしょうか。
秦氏●自動化率の最適化と単結晶インゴットの引き上げ技術およびスライシング技術の進化です。
自動化率の最適化については、手作業の方が適している工程を見極めてバランスをとって自動化を進めることが重要です。
単結晶インゴットの引き上げ技術については、多結晶と異なり、市販の装置を購入すれば生産できるというものではありません。装置の改良が重要で、そこにノウハウがあります。
スライシング技術については、ダイヤモンドワイヤをいち早く導入し、サプライヤーと協力して国産化しましたが、これよって生産効率を3倍に向上させました。
土肥氏●弛まぬ努力と技術革新の上に貴社の成功があるのですね。単結晶技術で太陽光発電の未来が変わるといっても過言ではありません。今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。