[特別対談 第11回]

トップメーカーの条件

SMAジャパン 今津武士代表取締役社長 × ESI 土肥宏吉社長

プロフィール●今津武士(いまづ・たけし) 1956年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、79年に日製産業(現日立ハイテクノロジーズ)に入社。香港支店および上海支店のマネージャー、米国現地法人のバイスプレジデント、商事戦略本部部長などを歴任。2012年からトリナ・ソーラー・ジャパンの代表取締役社長を務め、14年12月より現職。

今津氏●これは20フィートコンテナを改造したものです。出力を2MWにされたい場合は、1100kW機を2台搭載します。さらに昇圧トランスとスイッチギアを組み込んでいますから、接続が簡単ですし、昇圧トランスやスイッチギアまでSMAがまとめて保証するので、お客様は安心です。

お陰様でパッケージシステムは英国で爆発的に売れましたし、最近はフィリピンでも販売が好調です。フィリピンで売れている理由は、まだフィリピンにはPCSをメンテナンスできるエンジニアが少ないのです。当社のパッケージシステムを導入すれば、設置は簡単ですし、20年間にわたって当社がメンテナンスしますから、現地のEPC(設計・調達・建設)や発電事業者は安心なのです。

 

土肥氏●製品力だけでなく、EPCに対する配慮やユーザビリティまで考慮して製品に織り込まれている点などは、トップメーカーに求められる条件なのでしょう。しかし改めてSMAさんの実力を痛感させられるのは、インドでPCSの販売を伸ばされていることです。

インドは、高温多湿で過酷な使用環境であることに加え、コスト競争が世界で最も厳しい地域と言われています。その地域で16年は1GWも販売されたと聞いております。コスト競争力も高められているのでしょうね。

 

今津氏●今回新たに販売する1100kW機は、これまでの500kW機、700kW機、880kW機と同じプラットフォームで生産をしているとても競争力のある製品です。この製品はすでにグローバルで13GW出荷しており、製品コストの低減を実現したことがインドでの拡販を成功させた理由の一つです。

 

土肥氏●日本では、蓄電池やHEMS(家庭内エネルギー管理システム)の普及と相俟って、住宅用市場から自家消費利用への転換が進むと言われていますが、SMAさんは、ドイツで蓄電ソリューションを始めていらっしゃるので、日本でどう展開するか、策を練られていることとお見受けします。実際のところはどうなのでしょうか。

 

今津氏●住宅用PCSに関しては、まさに準備している最中です。ポイントは、HEMSとの連携、住宅用アフターサービス、そして蓄電ソリューションです。このうち住宅用PCSで動くHEMSシステムは間もなく発表します。アフターサービスは、壊れた場合に代替品をお送りするだけでなく、交換まで当社でやらせていただくというもので、いま準備を進めています。

一方、蓄電ソリューションは、すでに欧米では様々な製品を発売しており、蓄電池メーカーさんと連携を密にしています。日本市場へはできるだけ早く導入していきたいと思います。蓄電池の種類はお客様に自由に選んでいただくというのが基本コンセプトです。

 

土肥氏●貴社の製品開発は常に顧客に向いていらっしゃいます。その一方で、太陽光発電所の心臓部であるPCSの機能や耐久性を高めて、電力インフラの一端を担うという崇高な理念をお持ちです。その辺りが長く世界トップを走っておられる所以なのでしょうね。

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