[特別対談 第18回]
多様化する顧客ニーズ
イソフォトンジャパン ハビエル・メストレス社長 × ESI 土肥宏吉社長
土肥氏●当社も、貴社の防眩パネルを扱っていますが、これは画期的な製品ですね。パネルに求められる発電性能やパフォーマンスが高い点も魅力ですが、いま日本で起こっている重大な問題に対する解決策のひとつになり得る点において、意義深い製品だと思います。
というのも、先日あるセミナーに参加し、太陽光発電のネガティブなニュースで、最も多いのは近隣住民からの苦情だという話を聞きました。さらに苦情の内容を4つ挙げており、PCS(パワーコンディショナ)のノイズ、騒音、土壌侵食、パネルの反射による照り返しでした。
この話が意味するところは、我々が太陽光発電所を建設し、20年間管理して収益性を追求するのであれば、我々は近隣住民との20年の関係を重視しなければならず、これもいわばニーズのひとつではないかということです。つまり、メーカーが設備を提供し、EPC(設計・調達・建設)業者が太陽光発電所という商品を提供するのであれば、近隣住民との調和という点も顧客ニーズのひとつとして汲み取り、商品化していくべきではないかと考えます。
メストレス氏●おっしゃる通りです。メーカーは、発電性能やコスト、品質に加え、環境やコミュニティ、周辺住民に配慮し、調和していくという点も製品開発のテーマに取り入れていく必要があります。我々は、早くからこの点を重視し、製品開発に織り込んできました。それが日本で受け入れられた所以だと思います。
いま、金属屋根にマグネット式で簡単に取りつけられる架台や、ガラスではなく樹脂を用いたフレキシブルタイプのパネルなど、新しい製品も取り揃えています。これらは、あらゆる屋根に乗せたいというニーズを汲み取った製品です。
土肥氏●コスト競争が激化するなか、太陽光発電の関連設備は一層コモディティ化が進むとの見方もありますが、その一方で、顧客のニーズが多様化していく現実もあります。私はコモディティのなかにも、細かいニーズを反映した製品には一定の存在感を放つ強さがあると考えます。本日はありがとうございました。