ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション
ソリューション一環で発電所開発を展開
太陽光商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)が国内外でディベロップ事業に乗り出した。太陽光パネルやPCS(パワーコンディショナ)の調達力を活かし、太陽光発電所に仕上げて売却する。21円案件も積極的に開発していく構えだ。
ESIはこのほど、自社で開発した太陽光発電所の販売を始めた。国内では高圧プラント9ヵ所、計4MW、さらに、ドイツやケニアなど海外でもメガソーラーを開発中だ。その目的について、土肥社長はこう語った。
「買取り価格が下がると、発電事業の利回りが減り、開発は下火になりますが、日本はまだその段階ではありません。ドイツと比べると、価格21円は魅力がありますし、実際日本ではまだ発電事業は成立します。ですから、当社は製品の調達力を活かして発電所まで仕上げて販売するという商品販売の一環として発電所開発を始めたのです」。
事実、同社の製品調達ルートは広い。太陽光パネルメーカーは、パナソニック、ソーラーフロンティア、中ジンコソーラー、中フォノソーラー、韓ハンファQセルズ、スペインのイソフォトンなど10社を超える。PCSも、独SMAをはじめ、田淵電機、オムロン、安川電機、山洋電気、中サングロウのほか、10社近くのメーカーから調達している。
扱う製品が増えれば、自ずとESIは提案の幅が広がるが、同社の強さは、顧客の要求や案件の内容を熟知したうえで、最適な製品を提供できているところだろう。
土肥社長は、「お客様に対しては、ニーズをお伺いしたうえで当社の意見も提示させていただきながら、製品を提案しています。それが高じて当社ではお客様の要望をタイプ分けし、パネルとPCSの最適な組み合わせを用意しました」と語る。
ESIのタイプ分けは大きく3つ。まず「メイド・イン・ジャパン志向」だ。日本製の品質の高さは国内外に浸透している。メイド・イン・ジャパンとは品質を重視する顧客向けの提案だ。具体的には、パネルがパナソニック、ソーラーフロンティアで、PCSは、田淵電機、オムロン、安川電機、山洋電気、TMEIC(東芝三菱電機産業システム)となる。
次が「コスト志向」。初期コストを抑えたいのは、国内外共通の要求だ。ただ土肥社長は、「安ければよいというのは安直な考えでしょう。安い製品こそ品質を厳しく確認して、一定の基準を満たしているもの選びました」と語る。コストの制約上、システムはアジアメーカーの製品が中心になるが、ESIは品質に着目し、パネルはジンコソーラー、フォノソーラー、ハンファQセルズ、PCSはサングロウを提案している。
3つ目の「プロフェッショナル志向」は、大規模な太陽光発電所を複数開発するIPP(独立系発電)事業者や海外展開を狙う事業者向けの提案だ。土肥社長は、「プロの事業者はトータルのコストパフォーマンスを追求されます。知見も豊富なので、性能や価格、長期耐久性をバランスよく見て判断されます」とし、主にパネルはハンファQセルズと防眩性能に優れたイソフォトン、PCSはSMAを提案しているようだ。
これらの提案は反響が大きかったようで、ESIは2017年6月期の売上高は50.2億円と対前期比増収で着地した。そして今期は太陽光発電所の開発・売却まで事業領域を広げ、さらなる業績拡大を目指している。