遠隔監視、障害対応、定期点検、損害保険、組み合わせ自由!
きめ細かいLooopのO&M
再エネベンチャーのループ(中村創一郎社長)がO&M(保守・管理)の提案を強めている。遠隔監視と保守管理、損害保険のパッケージ商品に加え、今夏からメニューを細分化した。顧客層を広げ、現在30MWの契約量を年度内に60MW規模へ増やす狙いだ。
「稼働後3年を経過した発電所になると、定期点検時に何らかの不具合が見つかるものです。事業者さんの間で保守に対する意識が高まってきていたので、顧客サービスの一環としてO&Mを始めたのです」。
同社O&M事業部の末永展行部長は経緯を述べた。
ループがO&Mサービスを本格化したのは2014年9月。50kW未満の太陽光システム、『MY発電所キット』の設置を中心に同社がEPC(設計・調達・建設)を手がけた太陽光発電所が1000ヵ所を超え、自然災害などによる事故やトラブルが増え始めていた頃だ。
「大雨、大雪、強風といった異常気象の影響で、発電所の倒壊事故が増えています。当社のお客様でも今年は土砂崩れの被害が3件あったほか、メガソーラーの水没事故も起こりました。落雷の被害は7〜9月に集中して発生しています」。
自然災害による事故は、メーカー保証の対象外だが、ループが三井住友海上と商品化した損害保険に加入していれば安心だ。自然災害のみならず、売電利益の逸失リスクや第三者による損害賠償責任リスクまで軽減できる補償サービスも用意されている。
しかし、20年にわたって売電損失を最小限に抑えるためには、定期点検や損害保険だけでは不充分だろう。PCS(パワーコンディショナ)や太陽光パネルの不具合は突発的に起こり、知らずに発電量が低下していることも少なくない。
それだけに、ループは当初から、独自の遠隔監視システム、『みえるーぷ』を用いたアラート監視や発電量のモニタリングサービスを用意した。また、約4000名のカスタマーエンジニアを抱える大手IT系ベンダーと提携し、万が一の際に担当者が現場に駆けつけ障害対応する体制も築いた。
ただ、オーナーによって、ニーズは異なるようだ。末永部長はこう状況を語る。「約1年にわたって、遠隔監視と保守管理、損害保険のパッケージ商品を提供してきましたが、そこまで充実したものは要らないという声もありました」。
そこで同社は、低圧発電所までO&Mサービスの対象を広げるため、今夏からメニューを細分化し、メニューに応じて顧客が価格を設定できるようにした。
「多くの業者がO&M市場に参入しています。今後コスト競争力を発揮していくためにも、『みえるーぷ』の無償提供を検討しています。16年4月以降には実現したいですね」(末永部長)。