ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、発電所運用サービス本格化

独O&M大手と共同で 事業者目線のサービスを

太陽光専門商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中央区、土肥宏吉社長)が、O&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)サービスを本格化した。独O&M大手のグリーンテック社と共同で実施している。欧州の先進的な運用サービスを提供していく構えだ。

ESIの土肥社長は日本のO&Mの実施状況についてこう語る。

「発電事業者は、万が一に備えるという保険的な意味合いでO&Mサービスを受けているように感じます。O&M業者が、遠隔監視システムで24時間監視し、不具合を発見するとアラームで知らせ、場合によっては駆けつけるという緊急時対応を強くアピールするからでしょうか。しかしドイツの先例を見ても明らかなとおり、こうした状況は徐々に変わると見ています」。

土肥社長が指摘した〝変化〟とは、マーケットの黎明期に起こる建設ラッシュは、成熟期になれば縮小するが、代わりに運用の時代が来るというニーズの変化である。ドイツは先行しており、O&Mの在り方も進んでいるようだ。

「今後、買取り価格が下がり、さらに一般の電力市場への卸売も含めてマーケットが成熟化してくると、発電に対する事業者さんの意識がシビアになっていきます。事業者さんもこれまで以上に利益を追求されるので、建設後は、運用のやり方を工夫することで少しでも収益を高めていこうと考えるようになります。つまり発電所運用におけるニーズが変わるので、O&M業者への要求も変わります。万が一の緊急事態の備えというのは当たり前で、どのようにすれば売電収益を少しでも高めていけるかという、発展的で戦略的なO&Mというものが求められるようになるのです」。

では、ESIのO&Mとはどのようなものなのか。

一般のO&Mは、文字どおり太陽光発電所の管理と点検だ。出力50kW以上の発電所であれば、電気主任技術者による定期点検とパネルの洗浄、草刈りのほか、24時間発電を監視できるモニタリングシステムを用いた日常管理を行なう。

大規模な施設になれば、不具合検出の精度を高めるためにストリング単位で発電を監視したり、緊急時に作業員が駆けつける体制を整えたりする場合もある。

これに対して土肥社長は、「日本のO&Mは、万が一の備えという点にコストをかけ過ぎています。我々はあくまでも事業者の利益の最大化を目的としています」と語り、こう続けた。

「技術的にサポートする従来型のO&Mに加え、技術コンサルティングや財務管理、商用管理、資産管理といったものも加わります。つまり総合的な資産運用サービスになるのです」。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション 土肥宏吉社長