世界ナンバーワンのトリナが目指す日本戦略

日本に根付く覚悟も自信もある

トリナ・ソーラー・ジャパン 陳曄(チェン・イエ)社長 プロフィール●Chen Ye 英リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学で経営学修士を取得後、「フォーチュン・グローバル500」にランクインする企業で購買を担当。2008年2月、トリナ・ソーラー入社。調達部や営業本部のシニアディレクターなどを歴任。14年7月、日本と中国・常州のモジュールユニットを統括する取締役代表に就任。14年10月より現職

九州電力など一部、電力会社による系統接続の回答保留を受けて、バブルが弾けたと決めつけるのはまだ早い。日本の太陽光発電は始まったばかりです。政府によるエネルギー・ミックス(電源構成)の方向性も定まっていない。けれど、再エネが電源構成において一定割合を占めることは、間違いない流れでもあります。

その割合をどこまで拡大するかは政治のリーダーシップにかかっています。私は再エネの将来性を信じている。もちろん、様々なボトルネック(障害)があり、変換効率の向上や蓄電池の活用など技術的な課題も多い。それでもなお、市場が拡大する余地は大きいのです。

日本はメガソーラー、商業用のルーフトップ(屋根・屋上)、住宅用3つの領域に分けられます。我々の現在までの販売の50%以上がメガソーラーで、今後3年間はメガソーラー主体が続くでしょう。しかし、日本は国土が限られた島国であるため、17年頃にはメガソーラープロジェクトはほぼ出尽くすはず。

その後はルーフトップ中心のマーケットが必ず来る。

住宅も既築と新築住宅向けの2つに分かれますが、とくに潜在性が大きいのが新築住宅です。ただ住宅はメガソーラーと比べ、システムの個別性が強く複雑な市場です。さらに個人顧客はブランド志向が高いという特徴もあり、ブランド力を高めるための技術力やサービス体制が決定的に重要となります。

日本における14年の目標が市場シェア8%の達成です。13年はシェア4%で8位でしたが、14年には1〜9月のシェアが7%となり、7位となった(NPDソーラーバズ調べ)。

トリナ・ブランドとしてのモジュール販売のほかに、日本企業向けブランドで販売するOEM製品および、モジュールとともにインバータ、ケーブルといった周辺機器をシステム化して販売することによって、15年はさらに日本市場での存在感を高めていきます。

またブランディングと同様に重要なのが、持続的な付加価値の提供です。それは単なる製品の付加価値だけではなく、顧客に対するアフターサービスやジャストインタイムの輸送などサービスの付加価値です。

太陽電池のライフサイクル(寿命)は約25年だが、私どもは売ったら売りっぱなしではなく、ライフサイクル全体を通したサービスを提供していきます。

太陽電池だけでなく、インバータ、架台、ケーブルといった太陽光発電システムを構成する主要機器についても、品質の認められたサプライヤーを整えています。

価格戦略で重要なのはリーズナブル(妥当)なグロス・マージン(粗利益)であることです。キャッシュがなければ持続的な企業の発展はない。損失を出してまで販売するようなことは決してしない。

もちろん、顧客は低価格を望むでしょう。海外メーカーのなかには、日本での売上げを伸ばすために廉価で販売している企業もありますが、私は正しい戦略だとは思いません。製品価格と品質、サービス力は連動しているからです。

そして製造コストの競争力では他社に負けない自信があります。競争的な価格を実現するために必要なサプライヤーとの良好な関係があり、高い変換効率を生み出すR&Dの力が我々にはあるからです。

さらなるシェア拡大を図り、まずは日本で我々のシェアを上回る海外勢を抜くことを目指す。それと同時に新たなトリナ・ソーラーの企業イメージを日本で確立したい。長期的に日本で事業展開できるよう製品・サービスの信頼性や財務基盤を強固にしていくことが最大の目標です。

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