「将来を見据え、10年後も存続できるPV経営を」

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの市場予測

欧州の太陽光発電事情に詳しいヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が、日本の太陽光発電市場の未来を予測、独自の経営観を示した。

日本の太陽光発電市場の将来予測に関して、私は他のアナリストよりもコンサバティブに見ています。予測は外れるものですから、悲観的予測が外れて上振れするのと、楽観視が外れて想定外の厳しい現実に直面するのとでは、当然ながら前者の方がよいからです。

昨年、日本で太陽光発電は約9GW導入されましたが、PV業界の関係者ならば、この状況がいつまでも続くとは思っておられないはずです。では、2025年には一体どの程度の規模になるでしょうか。

保守的な予測では、約3GWへ縮小していくと言われています。25年には、メガソーラーの開発は一部に限られ、中小規模の太陽光発電所や住宅用太陽光発電などの屋根上設置が中心になるでしょうか欧州の太陽光発電事情に詳しいヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が、日本の太陽光発電市場の未来を予測、独自の経営観を示した。ら、3GWという予測は大きく外れていないように思います。

ただこれをもって、日本の太陽光発電市場が10年後に3分の1に縮小するという見通しに止まってしまうのは少々安直でしょう。経済規模は、さらに縮小しかねないからです。

15年時の太陽光発電所建設の経済規模は、導入量が9GWでしたから、これにIRENAの統計による15年時の太陽光発電所の標準的な建設コスト18万円/kWを掛け合わせると、約1.62兆円となります。それが25年は、導入量3GWに対して建設コストはIRENA統計によると8万円/kWと予想されていますから、約2400億円です。

確かに、O&M(発電所の管理・保守)市場が立ち上がるでしょうが、ドイツなどの例をもとに推計すると、300億円程度と思われます。発電所建設とO&Mを合わせても2700億円ですから、25年の経済規模は15年時の僅か6分の1に縮小する可能性があるのです。