[特別対談 第7回]

パネルメーカーの将来

ジンコソーラージャパン 淺野晃弘社長 × ESI 土肥宏吉社長

2020年、導入規模3GWに縮小か

プロフィール●淺野晃弘(あさの・あきひろ) 1969年大阪府生まれ。92年関西大学卒業。神戸大学大学院でMBA(経営学修士)取得。太陽電池大手メーカーで要職を歴任し、2014年4月よりジンコソーラージャパンに入社。副社長兼大阪支社長を経て、15年3月より現職。

土肥氏●2020年以降、日本市場は3GW程度に縮小すると思います。一方でコスト低減が進み、グローバルコストはMWあたり8000万円まで下がるという試算もあるので、日本市場が世界標準に収斂すると仮定すると、市場規模は9GWが3GWへ3分の1になると見るよりは、2.5兆円市場が2400億円市場へ10分の1に縮小すると捉えるべきでしょう。

つまり企業の淘汰が起こり、恐らくパネル、PCS(パワーコンディショナ)、EPC(設計・調達・建設)、O&M(管理・保守)の各分野で、グローバルプレイヤーしか生き残れない時代になると思います。

ですから日本のメーカーさんには日本で事業を継続するためにも世界で活躍してほしいですし、日本に進出されている貴社のようなグローバルメーカーさんには日本市場が縮小しても撤退せずにサービスを提供し続けてほしいですね。

 

淺野氏●私も同じ意見ですが、日本市場だけを見ますと、元の健全な形に戻るのだろうという認識です。

2025年、つまり10年先の日本市場が3〜4GWになるとすれば、そのうち半分は住宅用でしょうが、もう半分は500kW以下の工場屋根などに設置する産業用が中心になるでしょう。日本の地形上、地上設置のメガソーラーは非常に限られてしまうと思います。

では、パネルメーカーは今後どう事業を展開していくべきか。世界市場は今後も成長しますから、当社はまだまだ戦っていけるのですが、日本にフォーカスすると、先ほど申し上げたとおり、太陽光パネルは適材適所に導入されるようになるので、その動向を見極めながら戦略を立てるべきだと思います。同時に、技術は日進月歩で進化しますから単結晶パーク技術の次の手を準備しておかなければならないでしょうね。日本市場が今後シュリンクしても、我々は継続的にパネルを販売していきます。

 

土肥氏●FITが始まる前、住宅用補助金が一時停止し、市場が縮小した時期がありました。その後FITが始動してマーケットは急拡大したものの、買取り価格が下がり、再び市場が縮小に転じているのですが、今回は補助金停止の頃とは大きく違います。太陽光発電産業は、すでに補助がなくても独り立ちできる段階まで成長しているのです。これは日本に限ったことではなく他の国も同じです。

そしてこの数年間で太陽光発電は国民に認知され、身近なものになりました。太陽光発電の利点を一から説明して販売しなければならなかった頃と比べると環境は大きく変わったのです。

今後はパネルメーカーさんを始め、PCSメーカーさん、EPC企業さん、O&M会社さんなど、各領域のプロが力を合わせて市場を切り拓いていくときではないでしょうか。

ウェブサイトはこちら