ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、パネル販売好調

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)が、国内外の有力企業と関係を強め、存在感を高めている。太陽光パネルでは、独ソーラーワールドに加え、ソーラーフロンティアやパナソニックとも取引を開始。提案の幅を広げ、パネル販売を強化していく構えだ。

ESIはいま、太陽光パネルの販売が好調だ。

そもそも同社は、2012年の設立後、独ソーラーワールド製のパネル販売から事業をスタートさせている。着々と新規顧客を開拓してきたが、ソーラーワールドと総代理店契約を結んでいたために他社のパネルを扱えず、PCS(パワーコンディショナ)の販売やO&M(管理・保守)サービスも手掛けながら業績を伸ばした。

それだけに、土肥社長には、パネル販売に対する特別な思いがあったのだろう。創業時のことをこう振り返った。

「太陽光プラントの顔はパネルですから、品質のよい欧州のパネルを日本に届けたいという考えから事業を始めました。そしてソーラーワールドさんと出会い、製品の長期耐久性が非常に優れていたので、我々は自信を持って売ってきたのです。ただ、他のメーカーの製品をお求めのお客様もいらっしゃって。我々は顧客目線で製品を提案してきたので、心苦しい思いをしたこともありました」。

それでも、同社はパネルの販売を年間50MWまで伸ばし、さらに強めていくつもりだった。だが、15年1月にパネルの軽微変更ルールが改定され、発電事業者が認定取得後にメーカーを変更できなくなった。市場は硬直化し、同社のパネル販売も頭打ちとなる。

そこでPCSの販売やO&Mなどに展開し、業績は右肩上がりを維持したものの、創業当初からのパネル事業だ。まだまだ成長させたかったに違いない。

その思いが通じたのか、ここに来て状況が好転する。今年2月にソーラーワールドとの契約が更新時期を迎え、他のメーカーの製品も扱えるようになった。3月からはソーラーフロンティアやパナソニックとも取引を開始する。そのうえ、FIT法の改正で、パネルの軽微変更ルールが旧ルールに再改定され、特高案件向けのパネルの注文が増え始めたのだ。

土肥社長は、「ソーラーワールドさんとは引き続き代理店契約を結び、取引は継続していきますが、一方で、他のメーカーさんの製品も扱えるようになったので、提案の幅が広がりました。ルール再改定の追風を生かし、住宅用から特高向けまで全方位に展開しています」と意欲的だ。

16年6月期の売上高は、前期比微増の49.8億円だったが、今期はパネル100MW、PCS200MWの出荷目標を掲げ、70億円以上の売上を見込んでいる。

「当社はあくまでも黒子に徹し、エンドユーザーさんとメーカーさんのために仕事をするというスタンスです。多くの商材を調達できるようになったので、中立的な立場で助言できるようになりました。PV総合商社であり、技術コンサルティング会社として、今後もサービスを提供していきます」。

ESIの成長はまだまだ続きそうだ。今後の活躍に期待したい。

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